□英英・西英
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どっちもどっちな話
言える事はただ一つ、楽しかったです。
ポテトが食べたい



侵されて犯されたのは自身の心と身体、しかし別の意味でも相手を侵し犯しているのだから"おあいこ"と云う所だろうか、と苦い咥内に顔を歪ませる、やはりあの白く濁ったアレは不味いと再度思った、だけどそれは愛おしい、なんてくすぐったくて融けそうな言い方だが、そんな彼奴のものだ、から俺はその白く濁ったアレを残らず飲み干す、勿体ないから、みたいな言い方じゃなく、あえての可哀想だからと云う回りくどい言い訳を今日も明日も明後日も明々後日も零すのだろう

(丑三つ時のお仕事)

end

死ねた



「死なんといて」
そんな無理な願いを頼まれたのはついさっき、抱き締められている自分の身体は以前よりも細くなった気がする、肌色は不健康に青白くもなったようだ、力が入らない、数ヶ月前は「離せばかぁ」なんて言ってある意味形だけの抵抗も出来たのに、今ではそれも夢のまた夢、遠く千切れた未来だろう
白い病室には自分とこいつしか居なくて、サイドボードには卓上カレンダーと小さな時計、そして数通の手紙が置いておりそれ以外は無い、と言える
もう何も感じなくなって来たのは数週間前からで、喉元に何かが引っ掛かったよう言葉が出なくなったのは数日前、返事も出来ないのに無理難題な、そんな願いを頼むなんて狡いと思うのだ、指切り並みにタチの悪い、まあ針を千本をも飲まなくていいのが助かるが
くしゃり、と癖のある髪を撫でれば鼻を啜る音、泣いているんだなんて確信するまでもなかった
こんな自分の為に何故泣くのか、聞きたいのに聞けないのは病のせいだと攻めて言い訳のように繰り返す、なんと醜いのか
息を吸えば薬品の匂いと太陽のような柔らかい匂い、両方共が落ち着くのはどうしてだろうか、肩に顎を乗せ考えてみる
暫く考えてみても結局結論も状況も変わらず、窓からは(そういえばこの部屋に窓などあったのか)黄昏色の光が入って来ている、白い病室はその色に染まってきて
心は、黒に染まった
段々と沈む夕日、藍色に濃紺に染まる空、そして失っていく意識、そして体温
ひっそりと息を引き取った彼に気付くのは一番想っていたその人ではなく、ただの看護婦だったらしい

(あの日、世界は消えていたはずだったのに、生まれていたはずなかったのに)

end

解釈は御自由になんて偉そうにほざいてみる←

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