□青春ごっこ
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ニートのプーさんことギルベルト・バイルシュミットは悩んでいた
目の前には二つのアイス、片方はハーゲンダッツのメイプルもう片方はガリガリ君いちごみるくがあり、要するに有り金の少ない中どちらを選び買おうかを悩んでいるのだ
クーラーボックスの前で腕を組み真剣な眼差しでアイスを見つめる二十代の姿がそこにはあった
自分である
そんな時、背後には彼の悪友である自称親分のアントーニョが近付いて来ていた
勿論抜き足差し足忍び足で、表情から既に物凄く嬉しそうで高校生か、と突っ込まれそうだ
「ギールちゃん!何しとるん?」
バン、と肩を両手で叩きそのまま抱き付く、本田と名札が付いたレジの店員は一眼レフを取り出しシャッターの嵐を生み出していた
「うをっ!!?‥ってお前かよ、でも俺様を驚かせるにはまだまだ早いぜ」
バクバクと心臓が鳴っているのによく言ったものだ
「今「うをっ!!?」って言ったんギルちゃんやんか、それにしても何か悩んでたみたいやけどどうしたん?」
「‥あー、いやどっち買おうかと思って」
例の二つを指さすとアントーニョは理解したようで「確かにこれは悩むやんなぁ」と同意を示す
「だろ、お前どっちがいいと思う?」
「親分やったらピノのトマト味やな」
「どっちがって言ってんだろ、ていうかピノにトマト味なんかあるのかよ、こん中にはねえぞ」
突っ込みつつデコピンを食らわすと意外にも大ダメージだった、流石は俺様小鳥様
「痛ったぁ‥あ、せや二人で一つずつそれ買わへん?」
デコピンで閃いたのだとしたら少しばかり悲しいが素直にいい考えだと思ったギルベルトはそれを採用しジャンケンで勝ったアントーニョはちゃっかり安いガリガリ君を購入した
「有り難う御座いましたー」
店員の笑顔がずいぶんキラキラしていた事に疑問を感じたが早くアイスを食べたかったのでそのままコンビニ外の壁に持たれ掛かり冷気を帯びたビニール袋からハーゲンダッツを取り出し早々に一口を済ませた
「〜っうめぇえぇ!!」
「良かったなあギルちゃん」
悶えているギルベルトを笑いながら横目で見つめていたアントーニョは母親のようで、自分も溶ける前に出そうと思った時、平らな木のスプーンのを目の前に差し出された
「‥くれるん?」
首を傾げて確認
「当たり前だろ、俺様は優しいからなケセセッ」
無邪気な笑みはとても、とてつもなく可愛らしく差し詰めあーんの状態で冷たいそれを口に含んだ
幸せを運ぶメイプルとは中々洒落ている、そのまま熱い頬にキスをしながらプラチナブロンドの短髪を眩しそうに撫で、何をされているのかを理解していない悪友に向かってぽつりと、

(青春ごっこ)

end

ありがちでベタ

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