小説
□仰せのままに
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ジューと香ばしいベーコンの焦げる香りと
お湯が沸きカタカタ鳴るやかんの音。
僕は眠い目をこじ開けるようにしてこすりながら
そんなに好きでもない苦いコーヒーを煎れる。
こんなことしている自分を
ふと、少し大人になったのかなぁ、
なんて思う。
2枚の皿にそれぞれベーコンとソーセージ、
君の皿には2つ目のある目玉焼き、
僕は目玉焼き嫌いだからスクランブルエッグ。
それと昨日の残りの野菜炒めなんか添えて、
なんてすがすがしい朝なんだろう。
バイト先で貰ったりんごのデニッシュと
クロワッサンなんかをトースターであっためていたら、
よたよたと目をこすりながら
君が椅子についた。
「はよ」
「んー‥」
曖昧な返事をした君は
自分の分の皿を引き寄せて
ぼーっと見つめていた。
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