小説

□仰せのままに
2ページ/5ページ


ジューと香ばしいベーコンの焦げる香りと
お湯が沸きカタカタ鳴るやかんの音。

僕は眠い目をこじ開けるようにしてこすりながら
そんなに好きでもない苦いコーヒーを煎れる。

こんなことしている自分を
ふと、少し大人になったのかなぁ、
なんて思う。

2枚の皿にそれぞれベーコンとソーセージ、
君の皿には2つ目のある目玉焼き、
僕は目玉焼き嫌いだからスクランブルエッグ。

それと昨日の残りの野菜炒めなんか添えて、



なんてすがすがしい朝なんだろう。



バイト先で貰ったりんごのデニッシュと
クロワッサンなんかをトースターであっためていたら、
よたよたと目をこすりながら
君が椅子についた。

「はよ」

「んー‥」

曖昧な返事をした君は
自分の分の皿を引き寄せて
ぼーっと見つめていた。



.

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ