Flow at time
□懐かしい声。
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―――その時は、突然訪れた。
「…」
布団の上に寝転んだギンは、眠ることが出来ず天井を見つめた。
――――ボクは、何してるんやろか。
鈴と出会ったとき、無性に泣きたくなった。
生まれ変わってもボクんことを覚えとってくれたこと、ほんま嬉しかった。
養子縁組をしてから、鈴は実家と縁を切って。
ボクはSS特待生で3年間学費のかからない高校へ行った。
ホンマはすぐにでも働くつもりやったけど鈴がそれを許さへんかった。
今の時代、高卒でも就職が厳しいのに中卒なんて仕事が出来るわけへんって。
バイトが出来たら良かったけどんやけど、ボクの通う高校はバイト禁止。学費はともかく、ボクがあるだけでお金がかかるのは間違いないんや。
鈴は短大卒。秘書技能、簿記…と片っ端から資格を取りまくったから就職には大して困らなかったらしい。
元々、面接に強い言うてたしな。
こうゆうときふと思い出す、残してきた者のことを。
乱菊や、イヅルは…どうしてるんやろか。
…乱菊なら、どうしたやろか。
今の状況を、乱菊ならどうしたんやろか。
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