遙かなる時空の中で
□君を、好きになる程に
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「弁慶さん、ちょっといいでしょうか‥?」
「はい、いいですよ望美さん。何か僕に用でしょうか?」
「あのですね‥‥」
君を、好きになる程に
“今日の九郎の何故か機嫌が悪く、けれども、皆理由が分からないので、それとなく理由を聞いて欲しい”
そう一同を代表して頼んできた望美の願いを快く聞き入れて、九郎の所を行くと確かに今日の彼は身体から不機嫌オーラを醸し出していた。
(おや、本当ですね‥)
「九郎、どうかしたんですか?」
そう後ろから九郎へと話しかけると、いきなりの弁慶の登場に驚いた九郎が驚きの声をあげる。
「わっ!べ‥弁慶、いきなり背後に立つな!!驚くだろうが!」
「ああ、それはすいません。以後気をつけますね。‥ところで、九郎‥?」
「な‥何だ‥!?」
「何かあったんですか?」
極度の鈍感な彼には、回りくどく聞いても無駄だ。
そのことを知っている弁慶が、ぐいっと九郎に顔を近付け、短刀直入に聞くと、九郎は不機嫌気に小さく口を開いた。
そして、驚きの言葉を口にする。