遙かなる時空の中で
□僕達の速さで
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僕達の速さで
「ねぇ‥九郎‥」
「な‥なんだ、弁慶!?」
「‥どうして、そんなに僕から離れて歩いているんですか?」
そう弁慶が尋ねると、弁慶から少し離れた所を歩いていた九郎は歩みを止め、困ったように目を反らす。
「そ‥それはっ‥‥」
「‥やっぱり、僕と並んで歩くのは嫌ですか‥?」
言いずらそうにする九郎に、弁慶が切な気に微笑みながら、そう静かに尋ねる。
自分のこの金紫の髪は、この京ではとても目立つ。
ずっと、嫌だった。
他の人とは違う、この髪が大嫌いだった。
けれども九郎は、そんな自分に、
『そんなの気にすることないだろ。‥俺は、そのままのお前が好きなんだ』
そう太陽みたいな輝く笑顔で言ってくれたけれども、やはりこんな髪の色の自分と歩くのは嫌なのだろうか‥?
だとしたら、それは―――
「‥‥‥」
弁慶が悲し気に顔を伏せていると、九郎が大股にずかずかと近寄ってきて、いきなり弁慶の手を強く握る。