遙かなる時空の中で

□僕達の速さで
1ページ/3ページ














僕達の速さで








「ねぇ‥九郎‥」



「な‥なんだ、弁慶!?」



「‥どうして、そんなに僕から離れて歩いているんですか?」



そう弁慶が尋ねると、弁慶から少し離れた所を歩いていた九郎は歩みを止め、困ったように目を反らす。



「そ‥それはっ‥‥」



「‥やっぱり、僕と並んで歩くのは嫌ですか‥?」



言いずらそうにする九郎に、弁慶が切な気に微笑みながら、そう静かに尋ねる。








自分のこの金紫の髪は、この京ではとても目立つ。









ずっと、嫌だった。









他の人とは違う、この髪が大嫌いだった。









けれども九郎は、そんな自分に、


『そんなの気にすることないだろ。‥俺は、そのままのお前が好きなんだ』


そう太陽みたいな輝く笑顔で言ってくれたけれども、やはりこんな髪の色の自分と歩くのは嫌なのだろうか‥?






だとしたら、それは―――






「‥‥‥」




弁慶が悲し気に顔を伏せていると、九郎が大股にずかずかと近寄ってきて、いきなり弁慶の手を強く握る。








次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ