遙かなる時空の中で4
□君と、同じ空の下
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君と、同じ空の下
――平和な日常。
戦も終わり、穏やかな時間が流れる日々。
「さて、と‥‥」
今日の執務を終えた那岐が、いつものようにお気に入りの場所で趣味の昼寝をしようと歩みを進めていると、後ろからある人物に呼び止められた。
「那岐‥ちょっと良いか?」
「ん?サザキ‥どうしたんだよ、アンタらしくない顔しちゃって‥」
呼び止めてきたサザキの顔は、いつものおおらかな呑気な顔でなく、何やら真剣味に溢れている。
一体、何の話しなのだろうか‥‥?
微かに那岐が不安を感じていると、意を決したサザキが驚きの言葉を口にする。
「俺と一緒に日向に来てくれないか‥?」
「え‥‥?」
いきなりのサザキの言葉に、那岐の顔に戸惑いの色が浮かぶ。
「‥急にこんなこと言って悪い‥。‥でも、ずっと考えてたんだ。俺は一族の頭領だから、いつまでも此処に居るわけにはいかないんだ。日向に帰らなけりゃならねぇ‥。お前に‥那岐に、一緒に日向に来て欲しいんだ‥‥」
「‥サザキ‥」
「‥無理にとは言わねえ。返事は今度で良い。考えておいてくれ‥」
そう那岐を安心させるよう優しい笑顔で告げると、彼は静かにその場を去っていった。
那岐は、突如恋人から告げられた誘いにしばし呆然とし、しばらくの間その場から動くことが出来なかった。