遙かなる時空の中で4
□愛の証
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愛の証
――暖かな陽気の溢れる午後。
那岐が宮殿の廊下を歩いていると、執務を終えた千尋に後ろから声をかけられた。
「ねぇ、那岐?」
「ん?何か用千尋?」
いきなり声をかけてきた千尋に、いつものように素っ気ない返事をすると、
「そこなんだけど‥」
そんな那岐の態度はいつものことなので全く気にしていない千尋が不思議な顔で那岐の首筋を指差す。
「え?僕のここがどうかした?」
「何か赤くなってるよ‥?どうかしたの那岐?」
「‥‥‥っ‥‥!」
千尋の言葉に、それまで無表情だった那岐の顔がいきなり赤く染まる。
「こっ‥これは、何でもないよ!」
「そう‥?でも、結構赤くなっちゃってるし、遠夜に薬貰って来ようか?」
そう親切心から笑顔で提供してくる千尋に那岐は、
「い‥いやっ、本当に何でもないんだ!だから、千尋は気にしなで良いから!!そ‥それと、僕用事思い出したから、もう行くね。じゃっ」
そう早口で告げて、足早にその場を去る。
そして、一人残された鈍い女王様はというと‥‥
「‥どうしたんだろ、那岐ってば‥?」
きょとんとした顔で、そう一人呟いていた。