長編部屋
□巡りあい
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――もし、もしこの儚くも悲しい戦乱の世で貴方と離れ離れになってしまったとしても。
私は、また貴方に出会える気がするんだ。
きっと、きっと巡りあってみせるから。
愛する貴方に――
巡りあい
ゴォォォォ――――
炎が‥燃えてる‥‥
顔はよく見えないけれど白い着物を着た男の人と、真っ黒な外套を着た人が燃えさかる炎の中、お互いを守るように抱きしめ会っている。
焼け死んでしまう‥逃げて!
そう2人に叫んでも、聞こえていないのか全く反応が無くお互いを抱きしめあったままだ。
二人が死んでしまうと焦っている弁慶に、白い着物を着たその男はふと弁慶の居る方を見て、こう囁いた。
――案ずるな‥。
きっと‥きっと、お前に会いに行くから‥‥
また出会えるから―――
そう優しく微笑みながら、弁慶へと告げる。
「あっ‥‥!待って下さい、貴方は‥」
そう弁慶が尋ねようとしたところで、弁慶の瞳に眩しい日の光がさしこんでくる。
「‥夢か‥‥」
弁慶は、ふぅ‥と小さくため息をつきながら、ベッドを降り身支度を整えて行く。
最近、何故かあの夢をよく見る。
炎に包まれた2人。
助けようとしても何故か身体が動かなくて、あの彼がそんな自分を安心させるように優しく微笑みかけてくる。
しかし、そんな彼に何か尋ねようとすると、必ずそこで目が覚めてしまう。
(‥ふぅ、全く‥なんなんでしょう‥‥)
考えても考えても分からない。
そう思いながらも、身支度を終えた弁慶は居間へと向かった。