遙かなる時空の中で
□僕達の速さで
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「く‥九郎っ‥?」
照れ屋な彼から手を繋いでくれるなんて‥‥
弁慶が思わず驚きの声をあげると、真っ赤な顔をした九郎が叫ぶように口を開く。
「い‥嫌なわけないだろっ‥!たっ‥ただな‥‥」
「ただ‥?」
「は‥恥ずかしかっただけだ‥!!」
「‥九郎‥‥」
耳まで真っ赤にしている九郎にそう告げられ、思わずつられて弁慶も微かに頬を赤くする。
「じゃっ‥行くぞ‥」
顔を真っ赤にした九郎がそう言って、弁慶の手を引いて再び歩き始める。
「はい‥九郎‥」
その九郎の言葉に弁慶は本当に幸せそうに微笑んで、九郎に導かれるまま、彼の隣を嬉しそうに歩んでいた。
二人で肩を並べながら‥‥
――ゆっくり、歩いて行こう。
焦ることはないから。
僕達の速さで、進んで行こう。
お互いの鼓動を感じながら。
お互いの温もりを感じながら。
ゆっくり、ゆっくりと‥‥
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