望み

□望の事
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(あれ…? 僕は…?)
 
 継は男に誘われて扉を開けた瞬間、扉から出た煙に巻きこまれた。
 継はその煙に巻き込まれながら、扉の置く深くまで連れて来られた。
 途中意識はあったが、あまりにもすごい勢いのため、目を明ける事さえ間々ならなかったのだ。
 だが少し、赤い光やらが暗い闇から見え
た。
 
 そして今、さっきまでの煙が突然去って行き、手加減無しに粗く降ろされた。
 その衝撃で継は気絶して、暫くの間ねむっていたのだ。 
 重くなった腰を、ボキボキといわせながらゆっくり上げる。
 「まぁ、歩かないと何も進まないだろうな」
 継は先へ進む事にした。
 このまま此処に居ても、何も起こらないと思ったのだろう。
 
 歩いていると時々、奇妙な声や視線を感じる事もあった。
 辺りは暗く、幾ら歩っても何も変わらない始末。
 壁さえあるか分からないし、第一何処に向かっているかさえ、分からない。
 (今、僕は何処に向かっている?ちゃんと真っ直ぐな床を歩っている?) 
 継は余りにも長い道に厭きれてきたのか、そんな事を次第に考え始める様になった。
 
 おそらく、継はもう彼此5時間は歩きっ放しだ。
 流石に疲れたらしく、その場で座った。
 すると…
 継が地に座った瞬間、さっきまで存在しなかった筈の穴が行き成り現れ、継はその穴に落ちてしまった。
 (いっったぁ〜っ 何なんだよ、)
 そう云って頭を上げると…
 継は呆然とした。
 継の視線の先には人型の扉が立ちはだかっていた。
 継はその扉の方へと向かうと、そっと右手で扉に触れてみる。
 扉は居たってシンプルな物だ。
 木目の板に、金色の取っ手。
 ただ一つ、形が人型なのが引っかかる。
 継はその扉の形を見て何か分かったようだ。
 すると継は無防備な事に、行き成り取っ手を回して扉を開けた。
 中からは特に何も出でこないし、覗いてもまた闇。
 だが継は笑っていた。
 まるで最初からそんな事は未踏していたかのように。
 継は少し歩き、扉に入る直前の所で足を止める。 
 そして、自分の望んむ世界を思い浮かべ、扉の中に入る。
 すると、あの人型の扉に継の身体はピッタリだった。
 あの人型は継の身体専用の物だった。
 そのピッタリな身体が最後まで抜けきると、さっき覗いた時の闇は消え、辺りは継の見覚えのある街並みになった。
 だがやはり、少し暗い街のようだ。
 空には赤く、今までに見た事の無い程の大きな月が見えた。
  
 だが何故、継の知る街などに通じたのだろう?
 それは今、継にしか分からない。
 
 継は歩き尽した様で、何処か目的があるのか、小さな路地を進んで行く……

 「何を考えているかは知らないが、早くお前の望みを叶えろ。 そして俺が……あっははははははははははははは…………」
 
 「頑張って。私は何も手助けできないから、攻めて見守らせて…」
 
 赤い月は継の運命を知っているのか。
 いや、これは運命なんてあまい物じゃない。  
 これは月が継に下した決まりきった事。
 結果の見えきった勝つ確信のあるゲーム。 継は月には勝てない。
 そう決まった『必然』的なゲーム。 
 

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