仲間とのお話

□リード
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2週間前、
桂木から連絡がきた。

高校を卒業してから世界中を飛び回っていて日本にいなかった彼女が、久しく日本に帰国するという連絡だった。


忙しいあいつのことだ、またすぐにでも飛び立つだろう。

だから俺は、彼女に声をかけた。


「桂木、ちょっと付き合ってほしいところがあるんだけど、いいかな?」



彼女に会うために。会いたいがために。




──




待ち合わせ場所の探偵事務所に向かう。

ここに来るのも久しぶりだ。

俺は桂木が海外を飛び回るようになってからは、今日が初めて。

…ちょっと緊張してきた…
久々に会う…んだけど、別に気を使うような相手でもなし。

なのにこの早鐘を打つ心臓はなんだ。


ガラス窓に映りこむ自分の姿を横目で確認。あ、ネクタイ曲がってるや。
鏡代わりにしてネクタイを…


なおしてハッとする。

そんで自分に苦笑した。

身だしなみなんて気にしている自分が笑える。普段仕事中だろうとだらしない格好なのに。


──緊張してんのかー。

そう思った。




気付けば事務所の前。
なんとなく髪の毛を整えて、眼鏡は笛吹さんに教わったように、胸ポケットに。

扉の向こうから物音が聞こえて、もういるんだと確信した。
同時に心臓も跳ねたけど、なかったフリして、二年前と変わらない表札がついたままの扉を開けた。


「桂木!ひさしぶ─…り…?」


アクセル踏んで入った勢いは、目の前の光景のおかげで急ブレーキ。


「あ、ヒグチさん!久しぶりー!」


……この山はなんだ?


目の前に高く積まれた箱の山を見上げる…

「あっ!ごめん!今片付けるよ!」
「桂木…これは?」
「久々に帰ったら、まず日本食を食べるって決めてたの!」
「……で」
「………へへ…」

桂木はバツが悪そうに笑った。


空箱の山…

しかもこれ、駅弁だ……


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