ねぇ待って


まだこの手を



離さないで―…











「旦那の手って小せぇよな、うん」

「喧嘩売ってんのかテメェ…」

あ、言い方がまずかった

「違う違う、サイズの話じゃなくて…なんかこう…守ってやりたくなる手っていうか…」

「はぁ?」


多分今、オイラは意味のわからない事を言っているだろう

自分でもわかる

「なんかさ、悲しい手ェしてるよ。旦那の手」

「…」


サソリは無言、無表情で自らの手を見つめる

無表情で見ているはずなのに

少し淋しそうに見えるのは

気のせいなのだろうか


暫く見つめた後、何も言わずデイダラに背中を向けてクグツのメンテナンスをし始めた


オイラの部屋でやらないで、出てって自分の部屋でやってほしい…

と思ったが黙っていた


旦那の背中が
『今は一人になりたくない』
と語っているように見えたからだ


オイラは少し微笑んだ













それから暫くして、メンテナンスが終わったのかサソリが作業する手をとめた

いつもなら直ぐに出ていくけど

何故か今日は出ていこうとはしない



「「……」」

二人の間に沈黙の空気が流れる

メンテナンスが終わったクグツを見つめるサソリ

サソリの背中を見つめるデイダラ


二人とも微動だにせず、一言も発さなかったが

デイダラがその沈黙をやぶった


「旦那!行こう、うん!!!」

「は?」

「外!オイラの鳥に乗って、空中散歩しよう!うん!!」


そういうとデイダラは

眉間にシワを寄せたサソリの手を掴み、

走り出した


「…」

デイダラはなんでオレの気持ちがわかるんだろうか…

なんでオレが

―手を繋ぎたい―

そう思ったのがわかったんだろうか…


「旦那!ほら早く!」

「…はいはい」

オレも甘くなったもんだ

あの時以来誰にも触らせてこなかった手を
拒み続けて来た手を繋ぐというその行為を

こうして受け入れてしまうのだから―…



でもまぁ、

もう我慢する必要もねぇか…

「デイダラ」

「うん?」

「ありがとな」

「うん!!?//」


繋がれた手
(もう離さないで)(僕が)(オレが)((淋しい思いをしなくて済むように―…))

End


あの時
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