サリナの大学生活A

□サリナの大学生活A
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目が覚めると頭が重かった。
最悪な気分。
鏡を見ると見事に目が腫れていた。
ママや仁に気付かれる前にお風呂に入ることにした。
冷たいシャワーで目を中心に顔を冷やす。
だいぶ目の腫れはひけてきたっぽい。
半身浴でリンパマッサージをする。
もうお店辞めて毎晩深酒することもなくなったから、たぶんむくみもひいてくると思うのだけれども、身体の中の毒素が抜けるまでは今まで通りのお手入れを続けようと思っている。
私も、もう27だ。
お手入れおこたるとすぐ外見に出てくるお年頃だ。
それにしても、昨夜は驚きの連続だった。
ダメ元で告白したら、店長は抱きしめてお別れのキスをしてくれた。
しかも、その後、なぜか山本さんに告白されてしまったのだ。
正直な話、どうしたらいいかわからない。
まさか山本さんに告白されるなんて思ってもみなかった。
しかも、失恋直後に…。
今まで、ボディガード山本とか内心思っていたから、恋愛対象外だった。
でも、店長によく似た声は捨てがたい。
未練たらしいけれども、あの声は好き。

山本さんは、順調に卒業して就職した。
広告代理店に入社したそうだ。
ばっさり髪を切ってスーツ姿で現れた山本さんを見て、写真部のみんなはびっくりしていた。
まさか、あの前髪の下に超美形な顔が隠れていたなんて思ってもいなかったようだ。
山本さんが卒業して、入学式があって、新入部員達が入ってきた。
いろいろと忙しく過ごしているうちに4月も下旬になったある日、山本さんから電話がかかってきた。
「渡辺!初月給入ったからメシおごってやる。ちょっといい店連れて行ってやるから、おしゃれしてこいよ」
と言うと、日時と待ち合わせ場所だけ決めて山本さんは電話を切ってしまった。
私、行くとは言ってないのですが…。
かなり強引に誘われてしまい、私も今まで散々お世話になってきた山本さん、すっぽかすわけにはいかなくて出かけていくことにした。
待ち合わせは新宿の高級ホテルのロビーだった。
こんな高級なところ来たことなかったから、気後れした。
仁の買ってくれたワンピースの裾ぎゅっと握り締め、ドキドキしながら山本さんを待った。
手に汗かいている。
山本さんは、仕事の都合でちょっとだけ遅れて来た。
「じゃ、行こうか」
と山本さんが連れて行ってくれたのは、ホテル内の高級フレンチだった。
「先輩、こんな高そうなとこダメです!」
袖を引っ張る。
「大丈夫だ!心配するな。腹いっぱい食っていいからな」
私の手をひいてさっさと店内に入ってしまった。
予約していたようで、山本さんの名前を言ったらすぐに席に案内された。
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