マリーゴールド
□それぞれの発見
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〜秋江の場合〜
「さてと・・・どこを探すかな。」
あるかどうかもわからないものを探すなんて、一体どうすれば良いのか?
秋江は神社で立ち尽くしている
「特別変わったモノなんて・・・お参りでもして帰ろうかな。」
家では幼い弟や妹達が待っている
もうすぐ家を離れる手前、少しでも長い時を一緒に過ごしたいと思うのは自然だった
秋江は神社に手を合わせたあと、しばらく目で辺りに何かないか探したが、何も見つからない
「・・・帰ろ。」
踵(きびす)を返した途端、何かを見つけた
木の枝に引っかかった、小さな輪
手を伸ばしてそれを取る
「さっき見たときは無かったのに・・・見落としただけ?」
素色の石で出来たシンプルな指輪に問いかけるように、秋江は呟いた