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□星に願いを
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貴方の夢を見ました














夢の中の貴方と俺は想いあっていて

貴方と過ごす瞬間1つ1つが僕にはかけがえのないモノになってゆく……



そんな、


とても幸せな気持ちに包まれた






哀しい夢でした。






どうかこのまま醒めないで


哀しくてもいいから


現実

なんかじゃなくていいから



だとわかっていてもいいから



僕は今この瞬間、

確かに愛されているよね?











「もう、一週間ですね…」


「………」

悟空は1週間前から突如として
目を覚まさなくなった。

ただ昏々と眠り続けている。

なぜ眠ったままなのかも
未だに原因不明。



眠っている筈なのにほんの少しだけ、
微笑んでいる姿が見える事もある。


まるで楽しい夢でも見ているかのように


「……悟空」

何故目を覚まさない

お前は夢の中の住人ではないんだ

お前はまだ生きている

俺は医者だ

お前をこのまま死なせたりしない

「目を覚ませ…悟空」









“―――――…?”


一瞬、誰かに呼ばれた気がした


ダレ?

オレヲヨンデイルノハ?


イヤダ

コノママネムラセテヨ

ヤメテ

ゲンジツナンカニモドリタクナイ


オレノシアワセコワサナイデ――。







コンコンッ


「…どうぞ」

「失礼します。」

悟空の…父親だった

「先生、私をここに呼んだのはなぜですか?悟空の治療方法でしたら全て先生にお任せした筈ですが…」

「…ここでは申し上げられないので廊下に出ていただけますか」









「危険な状態?」

「1週間程前から眠り続けたままでこのまま目が覚めなければ…最悪このまま亡くなってもおかしくない
状況下にあります」

「……そうですか」


少し間を置いては発せられた言葉に俺は少しばかり…驚愕する事となった


「やっと荷物がなくなるな」

「………。」

「それであの子は
あとどのくらいで死にますか?」

「…こんな事を医者である私が申し上げるのも差し出がましいですが…ご自分の子供じゃないんですか?」



「フッ…いいんですよ。
何も取りえもなくただ毎日へらへら笑ってばかりいる。
そんなあの子にイライラさせられるだけでしたから。」



「………。」


なぜか自分の拳を強いくらいに握っていた。


こんな奴が悟空の父親だと?



「それでは、私はそろそろ会社に戻ります。
次に呼ぶ時はあの子が亡くなってからにして下さい。私も、妻も暇じゃないので失礼します。」






あまりの言い方に

殴ってやろうかとまで考えた



「…待っていただけますか」

「はぁー…、今度はなんです?」


「貴方は自分の子供をどういった風にお考えですか」


「考えた事もありませんね…。出来てしまったから産まれた、ただそれだけですよ」









………――――――――――




『俺さ、高校卒業したら
大学に行こうと思ってんだ』


『大学…?』


『…今、俺なんかがって思ったでしょ』


『別に』


『俺、小さい頃からバリバリ働く
父さんや母さんに憧れててさ
俺もいつかこんな風になれたらなってゆうのが夢だったんだ。

まー…確かに今の成績じゃ
ちょっと進学は危ういけど…』


『かなり深刻にじゃなくてか?』


『うっさいなぁー…
とにかく俺は父さんや母さんみたいになって三蔵の事ギャフンって言わせてやる』


『それまで俺が生きていたらな』


『ムカつく…絶対10年以内に出世したその時は何かご馳走してよね!』


『10年で足りるのか?』


『そんなもん超余裕だっつーの!だから勉強教えて!!』


『結局それか…』


『えへへ…』








気が付けば
相手の胸倉を掴み壁に叩き付けていた








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