Novel(BLEACH)
□かなわない
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▼かなわない
―ふと、誰かの霊圧が四番隊の隊舎に近づいてくるのを感じ、卯ノ花は顔をあげた。
押さえてはいるようだが、平隊員とは明らかに異なる強さを持っている。
しかし、どこか繊細で不安定だ。
(この霊圧は…)
「吉良副隊長」
三番隊の副隊長である、吉良イヅルのものだった。
思わず呼び止めてしまったが、どうやら彼にとってはちょうどよかったらしい。
「あぁっ!卯ノ花隊長!ウチの隊長、知りませんか?」
「市丸隊長…ですか?」
「ええ、隊長、書類が山積みになってるのに、また仕事サボって隊舎を抜け出して…」
色んな処を捜し回っているのだろう。色白の額に、うっすら汗をかいている。
「市丸隊長なら、先程こちらにいらっしゃいましたけれど…」
「本当ですか!?それで!?何処かに行くとか言ってませんでした!?」
「確か、橘の花を見に行くとか…」
「橘……あっ!有難うございます、卯ノ花隊長!失礼します」
卯ノ花にぺこりと頭を下げると、吉良は瞬歩で去っていった。