yukihiro

□強引ng俺way
1ページ/5ページ


ずっとファンではあったけど私は積極的な行動派ではなくて、ラルク好きの男友達のカツヤから『ライブのチケットが余ってるから一緒に行ってみないか?』と誘われて、初めてL'arc-en-cielのライブに行った。


今回私たちが行ったライブは地方メインのこじんまりとしたライブハウスツアーで、ステージに手の届きそうな程に近い正面のアリーナ席だった。

ライブハウスには珍しく座席が取り外されてはいなくて、自分の周りに少しだけ安定した空間があることに安堵する。


『アリーナって、みんながステージに寄ろうとするから初心者の*はる*にはちょっとハードかって心配したけど、これならモミクチャにされたりしないから大丈夫そうだな』

「そうだね。不安だったけど…これなら平気」


ライブハウス内に流れるラルクのアレンジ曲に耳を傾けながら、開演時間を今か今かと待ちわびる。

未知の世界に対面するという期待と僅かな緊張を楽しむという余裕ある気持ちをまた楽しみながらその時を待った。
ライブハウス内がファンの子たちの喧騒で騒がしくなった頃、ほどなくして開演を告げるアナウンスに会場中で黄声がけたたましく上がり、瞬時に会場内は張り詰めた空気で波を打ったように静寂に包まれた。

周りが立ち上がるのに釣られて*はる*も立ち上がり、垂幕の上がっていくステージを見つめる。


h「待たせたな、てめーら!!」


『キャーーーーーッ!!!!!!』



大音量のボリュームに負けない会場中のファンの声。


ステージが明かりで照らし出され、楽器を構えて演奏するラルクメンバーの力強い色と存在が強烈に脳にインプットされる。

沢山の音と色の洪水が全身を渦巻いて身動きが出来ない。
息つく暇さえないような心地よい金縛りで周りに合わせてノることさえ出来ず、ただ、ステージ上を見つめて立ち尽くしていた。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ