虹巴
□ケンカと旅行と温泉と
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k「旅行なんて久しぶりやん♪」
tetsuの運転で助手席に座っているkenは、その身長故に少し狭そうに背伸びをした。
t「メンバー揃ってなんか、もっと久しぶりなんちゃう?」
h「スキー出来て、温泉もあるんやろ?めっちゃエェやん」
y「………。」
メンバー3人のワクワクを余所に、一人だけ内心不機嫌なyukihiro。
h「ユッキー、もう眠いん?」
y「ん、大丈夫」
h「ユッキーもスキー久しぶりやろ。一緒に滑ろな」
y「うん。(メンバーが一緒だなんて思ってなかったなぁ。何か言ってた気がするけどオレとした事が、浮かれてて頭回ってなかった…)」
hydeとの会話では反射的に笑顔を取り繕うが、それが終わると後部座席に沈み込む。
y「(でも確かに旅行も久しぶりだし楽しみなんだよね)」
早くも気持ちを切り替えるyukihiro。
h「*はる*ちゃん、向こうに居るんやろ?」
t「叔父さんのやってるペンションに、昨日から先に行ってるってメールが来てたで」
高速を下りて走ること1時間。
雪の降り積もる山の中、ペンションの駐車場に到着した。
4人は荷物を持って案内看板を頼りに道を歩く。
k「他にも結構あるもんやなぁ」
t「あ、ココやな」
【ペンション 潤月】
h「可愛ぇ名前やね」
先頭のtetsuは入り口の扉を開けた。
ドアに付けられた鈴がチリンチリンと鳴り来客を知らせると、パタパタと2階から階段を降りてくる足音が聞こえた。
「あ、みなさん」
h「*はる*ちゃん、可愛ぇ〜」
k「ストップ、ハイド!」
飛びつかんhydeの襟首を掴んでそれを阻止するken。
h「ちょ、離せ!」
ジタバタと暴れるhyde。
「テツさん、運転お疲れ様です」
t「ちょお疲れたなぁ」
tetsuは苦笑しながら肩と首を軽く動かす。
「コーヒー入れますね。荷物は部屋に置いてください」
カウンターデスクに用意していた4本の鍵をメンバーはそれぞれ受け取ると、荷物を置くため階段を上がった。
部屋は2階と3階に4つずつあり一部屋の広さは6畳ほど。ベッド、クローゼット、小さなテーブルとTVが置いてある。
こじんまりとしているが、決して狭さを感じさせない心配りが感じられる。
yukihiroはクローゼットの下のスペースにバックを置き、コートをハンガーに掛けて中にしまうと鍵を持って廊下に出た。
t「なんで居るん!」
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