abyss
□カルマ、それは罪と罰
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一体誰が存在証明をしてくれる?
そんな人がどこにいる?
いない、気がする。でも、いてくれたら、きっと誰よりも笑える気がするんだ。
暗い。暗くて、街の外は澱んだ空気で長時間いられるような場所ではない。
ここは陽の差さない、監視者の街・ユリアシティ。ティアとヴァン師匠の故郷。こんな、冷たい場所が、故郷なんだ。
ルークはたった一人でセレニアの花咲く庭にいた。肩には心優しい聖獣チーグルの子供。置いていかれた子供に唯一残ったたった一匹の味方で、心の支え。(どうやらアッシュ(被験者だ)に一緒に行くかって誘われていたようだが、断ったらしい)
馬鹿だ。自身など放って行けば良かったのに。我が儘ばかり言って、このチーグルの子供は一番迷惑を被っていたはずなのに、なのに、チーグルの子供はルーク以外の主を認めないと言う。小さな身体で、誇らし気に言うのだ。
――ぼくのご主人さまはご主人さまだけですの! ご主人さまはとっても優しいですの!
泣きたくなるくらい優しいのはチーグルの子供だ。優しくない自身を優しいと言うのだから。
ルークは思わずチーグルの子供を抱きしめた。
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