abyss

□カルマ、それは罪と罰
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ああ、どうして、この子供はこんなにも優しいんだろう。
あの時、聖獣の森で助けようと思って助けたわけじゃない。思わずだった。そう、思わず、だ。けれど、誰かが、少なくとも意思ある者を喪いたくなかった。

ライガクイーンもそうだ。彼女はただ生まれてくる子供を守ろうとしていただけだったのに、まるで死んで当然みたいな、あんな言い方ないと、思った。アリエッタ。六神将、妖獣のアリエッタの大切な母親だったのに。
レブリカであると分かった今でもルークにとってシュザンヌは、やはり母親だったから、その母を喪ったらと思うと身体が震えた。



「みゅうぅ……ご主人さま、だいじょうぶですの?」


「うん、大丈夫だ。だってお前がいてくれるじゃないか」


「はいですの! ミュウ、ご主人さまと一緒にいるですの!」



腕の中で嬉しそうにはしゃぐチーグルの子供の何と心強いことか!
ルークはユリアシティに来てから初めて心から笑った。



「ミュウ、一緒に旅をしてほしいんだ。……まずは罪を知り、罰を受けるためにマルクトの首都に。皇帝陛下に会わなくちゃ」


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