abyss

□声涸れるまで、泣いて、叫んで、喚いて、足掻いて、僕はただ君の名を呼ぶ
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ふ、とシンクから視線を外してまた枕に顔を埋めた。涙で濡れた枕はもう冷たくて、何だか胸が苦しくなった。



「で、アンタはどうするのさ。本気でオリジナルなんかのために生命を賭けるつもり?」


「どう、しようかな」


「覚悟がないなら、そう言えば? アイツらはお優しいからさ、慰めてくれるんじゃない?」


「そうかも、しれないな。でも、俺はそんなの、いらない」



枕でくぐもった声で言えば、シンクは確かに、と言ってベッドに座った。
どうやら彼は己に付き合ってくれるらしい。何だか嬉しくてまた涙が出てきた。
もう涙でイオンの使っていた枕を濡らしたくなくて、起き上がりシンクの隣に座る。



「何さ、また泣いて。僕がいるの、そんなに気に入らないわけ?」


「ちが、う。こんど、は、うれしな、きだっつー、の……」


「アンタさ、泣くか笑うかどっちかにしたら?」


「いーだろ、んな、も、ん。おれ、のかっ、てだ」


「あっそ」



やっぱりつまらなさそうに鼻を鳴らす。けれど、けして突き放すようなものは含まない。何だか、どっちが年上なんだか分からない構図だ。



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