abyss

□声涸れるまで、泣いて、叫んで、喚いて、足掻いて、僕はただ君の名を呼ぶ
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己が障気の浄化をすると言った時、旅を共にしてきた仲間たちはジェイドを除いてみんな反対した。
一人、反対しなかったジェイドは非難を浴びていたけれど、彼だって己にこんなことを選ばせたかったんじゃないと、今なら分かる。彼は彼なりに己を思いやり、それでもこれしかないと分かったから反対しなかっただけだ。(彼は誰よりも今回の事態の重大さを知っている)

何だか、引き留めてくれる人がいるって、すごく嬉しい。必要とされてるって思うから。
ただ、心に降り積もる優しさだけを抱いて、己はあの空に還ることができる。



「行きます」



ただ、一言告げて、己はすべてを投げ出す。そうして、今は音素に溶けた彼の傍に行くのだ。

心の中で何度も呼んだ、優しい優しい彼のところに――行く。


イオン、なあ、イオン! 俺もそっちに逝ってもいいかな。










声涸れるまで、泣いて、叫んで、喚いて、足掻いて、僕はただ君の名を呼ぶ
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