戴き物のお部屋

□快楽
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【快楽】

カプワトリムの宿の一室からユーリは一人窓の外をみた。
外の天気は暴風暴雨。先程から部屋の窓がガタガタと揺れて雨で濡れている。
見下ろしている路地に馬車が通りすぎ少し先で停車した。高くもなくボロくもない馬車には宿のロゴがついている。
この天気では、これ以上馬を走らせられなくて戻ってきたのだろう。
時間帯でいうならば、午後にさしかかったころ。いつもならユーリ達は、バウルで移動中であったはずだ。
めずらすく直撃したハリケーンに海の近くという事もあり荒れた天気は危険である。こうゆう日に行動を起こすのは良くない。
よって今日は、このままここに泊まるため二人部屋を二部屋、三人部屋を一部屋とった。
三人部屋は女性陣にわたし、レイヴンとカロルの意見を聞く前にルークと同室になると言って、もう一部屋のカギを押し付けてきた。

キィ……と部屋のドアが開く音がして『くしゅん!』とくしゃみと共にルークが来た。
「ルーク」
「なんだよ?」
不機嫌そうな彼の声音と眉間のシワはユーリに対してだけ発揮する彼の標準装備みたいなものである。
ルークの昔の仲間が居たならば、誰もが声を揃えて『アッシュみたい』と言っただろう。しかし、それはユーリの 知ることではない。

ユーリは、それとってくれよと、ベットの片隅にある小さなアイテム袋を指差した。
「…なんで俺がとらなきゃいけないんだよ」
そう言われつつも袋を投げつけるように渡される。
「サンキュ。身体冷えてるなら早めに風呂沸かして入ってこいよ」
「ああん、わかってんだよ。そんなこと!」
そう乱暴に言って着替えをあさるルークの耳は真っ赤だ。

「っぷ…」

ユーリは、吹きそうになって慌てて口をおさえた。
(ヤバい。こいつカワイイ)

「…ルーク」
そっと呼ぶとピクリと背がゆれる。
「それとも一緒に風呂入るか?」
「………」
真っ赤な彼は無言だった。でも無言は肯定の証し。
彼は知っているのだ。そこに待っている甘い甘い快楽の時間を…。



ユーリも着替えをあさりながら思う。
それこそ初めは「貴族の坊っちゃんが」次には「くそガキが」と。
耐えかねて怒鳴ってやろうと顔をみたときに、それは見事に吹き飛んだ。
ルークの顔も耳も真っ赤で瞳が潤んでいる。

…テレ隠し?

そうして思い出した。他の連中には、素直に話をしたり物を手渡したりしている事に。

こういうツンとした態度をとるのが自分の時だけなのだ、と。

ツンとした態度、にテレ隠し…。

そういや、一回だけ出ていこうとしたら「…行かないで」とか「良い子にするから」とか、しゅんとした事があったよな。

瞬時に脳内に「ツンデレ」という文字が流れた。ルークが可愛くて仕方ないと思うようになったのは、それからだった。

(さて、風呂に行かないと本当に拗ねるな)
「ルーク」
「ふん!仕方ないから一緒に入ってやるよ」

その強がりな皮をはがして啼かせたくなる。
ユーリは、ニヤリといつもの不適な笑みをうかべた。




***




シャンプーの匂いが立ち込める小さな密室で、湯船のお湯がちゃぷちゃぷ揺れていた。
それに合わせるように甘いかん高い啼き声がある。理性をなくしたルークは自ら腰をふる。
「っや!…ぁ、あっ!」
時折、顔を左右に振り短い朱の髪が空中を舞う。
「やぁあ、もっ…とぉ!」
「お前、俺が何もしてないって気づいてないだろ」
そう、全部ルークが動いてる。ユーリは優しくルークの胸にキスを落として彼を強く抱きしめた。
そして、ひときわ強く腰を突く。何度も何度も突いて、くったりと気を失ったルークに優しいキスの雨 を降らせる。

瞳や耳たぶ、唇に。
短い髪や胸の飾りにも。

そうして、かき抱いて腕の中にしまいこんで誰にも見せたくないと囁く。
「ルーク…」
甘く名前を呼んだ。意識をとばしていて反応は無いけれど、夜はこれからなのだから。
濡れている身体を軽くふいて裸体のままシーツの海に潜る。

艶やかなルークの唇と口内をむさぼった。
「…んんぅ……」
「っは。美味くて、たまらねっ」
ジンと身体がしびれた。

初めは子供を構って構って甘やかすつもりが、いつの頃からか捕らえられて動けなくなったのはユーリの方。

その日は、朝方までたえず甘い嬌声が響いていた。






2010/10/31
以下がでしたでしょうか?
甘やかすつもりが、つもりが、アレ?みたいな……。
『甘』の意味がちがうよ。

でも、どうしてもユーリさんが抱きたいっていうもんだから…(笑)



→管理人コメント
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