戴き物のお部屋

□オレンジティーを召し上がれ
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※現代パロでユリルク


誰かの誕生日でもなければなんて事のない平凡な日。

けれどもそんな日が特別な日になる時もある。



オレンジティーを召し上がれ




「何見てんだ、ルーク」

学校帰りに二人で寄った雑貨店。
様々な物が所狭しと置かれている店内。
特に目的も持たずに入った店。

ふと気付くと隣にいた人物が多種多用な食器類が置き並ぶある一角にぽつんと一人、立ち尽くしていて。
何かを熱心に見つめているルークに気付いたユーリは声を掛けた。

「べ、別に・・・」

『たいした物見てた訳じゃねぇよ』とルークは何かから、ユーリからもふいと視線を外し。

「ふ〜ん・・・」

と、なにやら納得していない様子のユーリから離れて別の品を物色し始める。

次々と品物棚を見て回るルークに置いてきぼりにされたユーリは漠然とルークが見ていた物が気になり、ソレと思しき物へと視線を向けた。

「・・・!」

視線を向けた先。
そこにあったのは―――・・


あまりにも可愛らしくて

ユーリは笑みを零した。





会計を済ませ、店外へと出た二人は手を繋ぐ。

「なぁユーリ、いったい何を買ったんだ?」
「ん?、気になるか?」
「なるから聞いてるんだろ」
「なら俺んち来いよ、見せてやっから」

そう差し延べられた手をルークは振り払えなかったから。

二人は恋人同士だから。

だから差し延べられた手を握り返したルークは頬を染める。

ちょっと恥ずかしそうにするルークとは逆にユーリは至って平然とルークの手を引いて自分の家へと足を運ぶ。

衣料品やら電化製品など、多彩な店が数多く建ち並ぶ街中を抜け、少しだけ町外れにあるアパートの一室―――現在ユーリが一人で暮らしている場所へと案内されたルークは『飲み物持って来るから待ってろ』と言われたので座るよう勧められた所にちょこんと座るも

(ユーリ、まだかな)

とか

(手伝った方が良かったかな)

だとか

(何買ったんだろ・・・)

などと妙にそわそわして落ち着かない。

勿論その中にはユーリの部屋にユーリと二人っきりだという事も無意識に含まれていて、ルークの頬は僅かに赤いのだが。

暫くするとユーリがティーポットを片手に姿を現し、もう少し待ってろとルークの頭を軽くポンポンと叩くとテーブルにティーポットを残し、また奥へと消えた。

(・・・?)

再び姿を現したユーリに一組のティーカップを目の前に置かれたルークはなんだか不思議な感じがして首を捻り。

(ぁ、)

トプトプと紅茶をカップに注がれてそれが何かに気付く。

(ユーリが買ったの、コレだったんだ///)

それは先程までいた店でルークがちょっと気になって見ていたモノ。

飲み物がハートの型になるカップ。

それがユーリが買ってきた品物の正体で。

(・・〜ッ///)

ハート型に注がれる紅茶はまるで愛してると言われてるかのよう。

「待たせたな」

仕上げに砂糖を二杯、さらさらと落としてクルリとスプーンで掻き回し、飲みやすい位置に置かれたカップをルークは無言のままほんのりと顔を赤くして見つめ。

「飲まねぇの?」

そう隣に座って聞いてくるユーリにほんのちょっぴりムッとする。

ちらりと視線を向けるとニヤついたユーリの顔。

差し出されたカップの事に気が付いたのを全部気付いてて言っているのだろう。

「・・・飲む」

だから少しだけふて腐れつつもカップを手に取り、口に付ける。

コクリっと飲むと口の中に広がるちょっと酸味のある味、オレンジの味。

「・・・オレンジティー?」

普通の、単なる紅茶だと思ってただけにルークは不思議に思い、首を傾げた。

「あぁ、今日はオレンジの日だからな」
「ぇ?」
「オレンジの花言葉が『花嫁の喜び』なんだってな
だからある国では新婚カップルにオレンジを贈る習慣があるんだと
んで、今日はカップルの間でオレンジやオレンジ色の何かを贈る日でもあるんだそうだ」

だからオレンジティー。なんて言われてしまい、ルークは顔を赤くして、それからどうしようと思う。

だって

「俺、なんにも用意してない・・・」

から。

そんなルークをユーリは可愛いと見つめ。

「気にすんな」

と口にし。

「オレンジはお前」

だからこれで充分。とユーリはさらりとオレンジ色に似ているルークの髪に触れ、唇と唇を繋ぐ。

「ば、ばっか///」

そう言ってルークが頬を染める。

そんなルークにユーリはもう一度顔を近付け。

唇にオレンジティーの味がした。


END





――――――――――
遊夢さまのサイトから過去フリーを際限なくいただいた第三弾。
オレンジの日のお話。
可愛い……!
ルークの可愛さは宇宙一だと俺は思う。
ユーリが惚れないわけないですね!
ご馳走様です!

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