戦国BASARA

□海の男
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海の男の食料に野菜は必要ねぇ。
必要なのは酒と肴と魚だ。
後は要らない。
ただし、今は違う。

「野菜は残すなよ」

今回は、片倉小十郎が乗船中なのだ。
だから、野菜が大嫌いな俺は、とても苦労する。
野菜残してーな。
箸を止めて空を見上げる。
空には無数の輝く星が散りばめられていた。
綺麗だよな。

「野菜を残す気か?」

現実逃避をしていた俺は、ドスの効いた声で、無理矢理引き戻された。

「わかってらぁ。食べるよ」

言ったものの、目の前の牛蒡と人参の金平に苦戦し、にらめっこが続く。
嫌だ。
絶対食べたくない。
そう思うが、ここで残した場合、取り返しのつかない事態になる。
誰か助けて。
流れ星を見つけて俺は願った。
しかし、そんなものは叶うはずもなく、金平はつやつやと光沢を放ち、俺に食われることを望む。
仕方ない。
俺は男だ。
腹を決める。
そして俺は金平の入った器を手に取った。
小十郎はそれを満足そうに見つめる。
すまねぇ。
俺はそう心の中で謝罪した。

ガッシャーン!

食器が割れる派手な音がしたが、気にしない。
俺は脱兎のごとく逃げ出した。
その後ろから鬼が追ってくる。

「待てやゴゥルァ!!」

「ひーー!!ごめんなさい!!許してください!!勘弁してください!!」

「勘弁なるかボケぇ!!」

鬼が物凄い速さで追いかけてくる。
恥すら捨てて逃げる俺。
部下は何気に脇に避けている。
誰かこの野菜奉行とめてくれーーー!!

「あ〜あ、小十郎怒らせてやんの」

声のする方向に目線をうつす。
独眼竜。
そういやこいつも居たんだっけ。

「見てねぇで部下止めろ!!」

「無理だ。小十郎は怒り出したらとまんねぇ。この俺の命令でさえ聞こえなくなっちまう。つうことで、諦めろ」

「諦められるかーー!!!」

大海原の船の上、俺の悲鳴と小十郎の怒り狂った叫び声が、夜が明けるまで続いたのであった。
お陰で喉痛めちまった。
ついでに腰まで痛くなった。
踏んだり蹴ったりだ。
ちくしょう。
今度からあいつら二人を船に乗せないと俺は密かに誓った。

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