戦国BASARA
□穢れ
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人の心や感情は時としてどのような鬼やもののけよりも恐ろしい。
そして、そのおぞましく穢れた感情は誰しもがもっている。
――人とはなんとおぞましいものなのだ――
幼少の頃より片時も忘れたことのない、人間に対しての断片的な思考。
時としてその考えは己の主さえも信じられなくする。
そして、
愛しき者さえも。
だから、
穢れた心の断片を見る前に
壊した
己が愛した
竜の心を
「政宗殿」
愛しい者の名を呼ぶ。
返事は、ない。
が、部屋のすみに微かだが人の気配がある。
「……そこにおられたか」
暗がりの中にいた政宗殿を見つけ、俺は何時ものように笑いかけた。
応えは返ってこないと分かっていながら。
俺は物言わぬ政宗殿を見て無性に笑いが込み上げてくるのが分かった。
これで穢れを知ることも無くなる。
貴殿はただ美しければそれでよい。
俺だけの、伊達政宗。
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