小説

□†黒咲学園†
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僕は、今目の前に広がる光景が信じられずにいる。

どこまでも続く柵・柵・柵・・・
そして、聳え立つ立派な門。
右手の門の柱には、黒い艶のある石が埋め込まれていて
【黒咲学園】と、文字が大きく刻まれていた。

僕は、大変なところに転入してしまったのかもしれない。

あんぐり口を開けながらその広大な光景に唖然としていた。    
「雫月宮 侑君だね?」

急に自分の名を呼ばれて、僕は我にかえった。
【しずきみや ゆう】
確かにそれは、僕の名前。
 
「はい、そうです。」

声の掛けられた方を見ると、綺麗な女の人が立っていた。
しかも、若い。
髪は長く、栗色で綺麗にカールしている。
肌の色は白く、細身で雑誌などで見るモデルのようだ。
綺麗な人だなぁと、正直思った。

「私の顔に、何かついてる?」

「いえ・・・綺麗な人だなぁとおもって・・・」

はっつ!!

今しがた心の中で思っていた事を、つい口にしてしまい
僕は慌てて口をつむった。

「あははははっ。正直な子ね。
素直に思った事を口にできるのはいいことよ。
私は 周防 円(すおう まどか)。貴方がこれから暮らす寮の管理人をしているの。」

周防さんは、上品に口に手を当て笑い自己紹介をしてくれた。
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