Shaman King

□我、汝愛す
1ページ/1ページ




今日という日に、
特別な想い入れはない。

朝からホロホロやら竜やらが
あいつにベタベタしてるのも
今日という行事があるからだ。

全く、仮にもシャーマンキング
になろうと競い合ってる、
俗にいう敵という物なのだ。
こんな行事に浮かれているなど
同じシャーマンとして
恥ずかしい。


「おい蓮〜オレ貰っちゃったよ〜」
何故ここで俺にフるのだ。
今気が立っているというのに。

「チョコなんていう甘ったるい物、俺は好かない。大体ホロホロ、少し浮かれ過ぎなのではないか?仮にもチームメイトとして恥ずかしいわ。」

「ひゃははは。そんな固っくるしい事言ってんと、もらえる物も貰えなくなっちまうぞ〜?」


馬鹿者が…
浮かれに浮かれ過ぎて
阿呆面がいつにも
増してるんではないか?
話すのにも飽き飽きしてくる。


「一つ忠告しておく。こんな行事に浮かれていると俺みたいに固くるしい者に」

「即、殺られるぞ」


武神を首元に突き付けて
少し脅してみる。
ホロホロは案の定、
いつもみたいに言い返してくるわけもなく

「そんな怒るなって!お前ももらえるかもしれないだろ!」

なんて戯言をいいながら
小さい箱を見せ付けてきた。

サクッ

「ぎゃあぁああぁ!」

ホロホロの額からは
血がダラダラと垂れている。
まあ、オレが垂らした訳だが。

「フン、馬鹿め。」


踵を返してその場から立ち退こうとすると後ろからやけに引き締まったホロホロの声が聞こえた。

こいつごときに足を止めるものか。

そのまま前を向いて振り向かずに声も返さずに次の言葉を待つ。

「案外、ホントかもしれねェぜ。」

意味の解らない言葉に
思わず足が止まった。
俺もまだ未熟だな。

「あいつさ、昨日たまたま見ちまったんだが夜中チョコ作ってんの。これ買った奴っぽいからさ。作ってんの誰が貰ったんだろなーって思って色んな奴に聞いて回ってんだよ。」

「…それがどうした。」

「まだ皆、オレと同じのしかもらってねぇ。可能性は十分有り得る。だからさ、」

「甘ぇもん好きか聞かれた時は好きっていってやれよな。昨日何回も作り直してたからさ。」


扉を閉める。
先程までの無償なイライラは
知らない内に消えていた。

『あ!蓮!』

「!」

なんという偶然だ。
つくづく運命は
俺に味方するらしい。

『あのね、甘い物は好きかな?』

顔を染めて、下を俯いて、
その手にはホロホロの
持っていた箱より一回り大きい
おそらくチョコの箱らしき物。

「…フン」

その箱を奪い取る。
ホロホロには
救われたくなかった。

「嫌いではない、貰っておこう」

だから今は言ってやらん。
いつか俺が、この手で
お前に触れた時に言ってやる。









俺が好くのはお前だけだ、と。




バレンタイン企画
"我、汝愛す"


.


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ