All The Way

□Rescue
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目を開けると、そこは終わりのない暗闇

底なしの暗闇

果てしなく続く暗闇

ねぇ

どこまで歩けばいいの?

どこまで頑張ればいいの?

どんなに必死に走っても

この暗闇からは抜け出せない

もう暗闇なしじゃ、生きられないんだ

ねぇ

いつまで待てばいいの?

いつまで頑張ればいいの?

早く助けて

助けて

誰か、助けて

早くこの暗闇から‥‥‥











Rescue












優しい風が頬を撫でる、そんないつもと変わらない午後。

綺麗な真っ青の空に白いふわふわの雲が浮かんでいる。

耳をすますと、外からは町の音が聞こえ、子供達の無邪気な笑い声が聞こえてくる。

そんな中。

暖かな陽の当たる部屋の窓際で、色素の薄い髪を気にしながら一人の少年が本を読んでいた。

まるで何年も外に出て遊んでいないかのような白い肌。

綺麗な整った顔立ち。

真っ白なパジャマの袖から覗く、細い手首。

大きく開け放たれたドアから入った風が少年の色素の薄い髪を揺らす。

少年は癖のようにしょっちゅう前髪を撫で付けていた。

少年は珍しいオッドアイだった。

右目は深いサファイア色の瞳。

右目は綺麗なアメジスト色の瞳。

少年はまるで透明人間のようだった。

存在感が、無いのだ。

もし、今、誰かがふっと部屋に入って部屋の中を見回しても、少年の存在には気付かない、そのくらい少年には存在感がなかった。

少年の部屋は広くて日当たりは良いが、簡素な部屋だった。

あるのは、ベッドと机と窓際に置かれた花瓶だけ。

部屋に響く音は、少年が本のページをめくる音だけ。

少年の在る空間だけ、時間が止まっているかのようだった。

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