All The Way

□The Darkest Night
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メインディッシュも終わり、料理も終盤になり、デザート類がテーブルに出された。

「ところで旅人さん。どうやってこの村へ来たんです?」

長が質問すると、旅人は愛想よく笑った。

「車で来たんです」

長はそれを聞くと、驚いて目を丸くした。

「自動式のですか?」

「えぇ。自分で運転するやつです。けっこう気持ちいいんですよ」

「今では珍しいですよね?」

「えぇ、まぁ」

カチャカチャと金属と皿のぶつかり合う音が部屋に響く。

旅人はふと顔を上げて、窓の外を見た。

いつの間にか焚き火が消えて、シンと静まり返っていた。

「皆さん、おやすみになられたんですか?」

「えぇ。もう遅いですしね。子供は寝る時間です」

長は人のよさそうな笑みを浮かべて、にこやかに答えた。

「そういえば、私どもはあなたのお名前を聞いていないのですが?」

旅人は不意にフォークとナイフを置いた。

「名前、ですか?」

「えぇ」

長はにっこり笑う。

旅人は無表情に長を見返した。

冷たい氷を思わせる表情だった。

「そんなの知っても無意味でしょう?」

長が笑みを崩した瞬間、旅人は勢いよくホルスターから銃を両手に引き抜いた。

そして、旅人は迷わずトリガーを引いた。

長の体が後ろに吹っ飛ぶ。

村人達の顔に恐怖が浮かんだ。

旅人は構わずトリガーを引き続けた。

村人達は部屋から出ようと一心にドアへ走った。

旅人は表情を変えずにトリガーを引き続けた‥‥‥。


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