夢の先へ

異説の世界で出逢った君
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俺がこの世界に来たときから、彼女はすでにコスモスの隣にいた。俺達が来る前にも戦士達はいたらしく、彼女もその一人らしい。






『よろしくね、フリオニール』





コスモスを通じて初めて会話を交わしたとき、微笑みと共に差し出された彼女の手を 俺は握ることが出来なかった。少しでも力を込めたら壊れてしまいそうだったから。
だから俺は彼女の手を握り返す代わりに、精一杯の笑顔で何とかその場を繋いだ。今思うともったいないことをした、なんて。(情けない)


―――二回目に会ったとき、また彼女は手を差し出してきた。意外な言葉を添えながら。







『私はキミが思っているほど壊れやすくないよ?だから、』




握っても、大丈夫。

そう呟いた彼女の言葉に甘えるように、俺はゆっくりとその白くしなやかな手を握った。







「(…あぁ、やっぱりダメだ)」







握ったその手は思った以上に小さくて、俺は三秒も握っていられなかった。ただの握手なのに。

…思った以上に小さくて壊れてしまいそうで、この子を守りたいとしか思えなくなっている自分に気が付いていた。












「…よろしくな、ディオニシュ」

『こちらこそ』







返ってきた微笑みは 眩しさを感じるほど。










異説の世界で出逢った君
(それは、初めて守りたいと思えた人)








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