夢の先へ

期待の先・前編
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「腹減ったなぁ…なぁ、俺達、なんでこんな目に?そんなに悪いことしたか?なぁ?」
「俺が知るかよバッツ…」
「止めてくれ、空きっ腹に響くだろ…」
「(まったく…)」


自業自得だろうが、というスコールの呟きも虚しく。
ディオニシュと一緒にいて朝飯抜きの刑を免れた、スコールを除く三人は、朝日を眺めながら響く腹の音に項垂れていた。

事の原因が、フリオニール自身にあることも知らず。
すべては一時間前、フリオニールが目を覚ましてから始まった。








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「ん…朝…?」
『あ、フリオニール、おはよう。』
「Σディオニシュ?!な、なんで同じベッドに、」
『なんでって…まさか、覚えてないの?』
「な、なにを、だ?」
『キミ、昨日、私のこと…』
「ディオニシュのこと…?」
『〜〜〜あり得ない!もういい!フリオニールのバカ!童貞!皇帝にやられちゃえ!』
「うわっちょっ待っ………」




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今思い返しても、鳥肌が立つようだった。

自分が朝起きたら、同じベッドに好きな人がいて、それだけで朝から刺激的過ぎるのに。
フリオニールが欠伸をしながら訊ねると、ディオニシュはキレて二日酔いしているであろうフリオニールのために用意していた冷水を彼に浴びせ、すぐさまテレポでどこかへ行ってしまった。





「(俺、なにか気に障ることしたのか…?ってか童貞って…)」



フリオニールは、昨晩の自分の行動を見事に忘れ去っており、逆にすべてをバッチリ覚えていたディオニシュからすれば、それはまったくあり得ないことなのである。








「…俺、なにかしたのか…?」




同じことを何度も繰り返すフリオニールに、事情を知っているスコールはどうしようもなく哀れむばかりだった。








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