混沌なる世界に光あれ

□真実と虚偽
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私はカオス神殿を振り返って天を仰いだ。私達のしようとしていることがカオスに知られたら アエリアが危ない。コスモスのところへ向かう前に、誰かにアエリアの保護を頼まねば。誰かに頭を下げるなど考えられたものではないが、アエリアのためだと自分に言い聞かせる。
さて、誰に頼むか。物分かりのよくて なおかつアエリアに下心のない人物…駄目だ、誰も浮かばない。これは疑心暗鬼というのだろうか。
私は軽く舌打ちをして前を見た。視線の先に佇むゴルベーザがいた。…決まりだ。






「――ゴルベーザよ、頼みがある。私が戻るまで アエリアを見ていてやってはくれぬか。アエリアはカオス神殿にいる」








私は早口に一方的に言った。時間がないからだ。ゴルベーザの了承など得ている余裕もなく、私は再度頼む、と告げてその場を離れた。今の私はあまりにも必死だった。





「――変わったな、」







背中越しにそう声をかけられた気がしたが、聞こえぬフリをした。私が変わったと言うのなら、それはアエリアの影響だろう。
世界がどうなろうと アエリアだけは私が守り抜くと決心させるほどだ。多分アエリアを失ったら…気が狂ってしまうかもしれないな。

私はしばらくして秩序の聖域へとたどり着いた。不思議なまでに誰とも会わなかった。それはそれでいい、無駄な戦闘は極力避けたい。
それにしてもこの場所は、コスモスが降り立つ場ということもあってか、神聖さを感じる。障害物も何もない地を見渡し、コスモスがいないかと目を動かす。…その時だった。









「これは…何のご用でしょうか」
「――コスモス、」







背後から声が聞こえ 振り返った先にはコスモスが佇んでいた。開けた場所に一つだけある玉座の前に立ち 私を見ている。光の戦士達は…誰もいないか。






「――私は貴公に会いに来た。話の内容は…貴公なら言わずとも分かるであろう」
「えぇ、カオスと…混沌の神子のことですね」







コスモスは比較的穏やかな態度を取っている。いや、コスモスはいつも穏やかか。そんな態度に 逆に私が押されそうだった。…ここにいられる時間もそう無い。早く話をつけて、アエリアの元に戻らねば。
思った以上にコスモスが話が分かる者だと安心はしたが、本題はこれからなのだ。








「話が早くて助かる。…アエリアを助けてはやれないか。私は アエリアの想いに応えたい」
「…真実を知れば 神子はさらに苦しむことになるでしょう。もちろん、貴方も」
「どう意味だ、」
「知る覚悟があるのなら すべてをお話しします」
「………!」








急かすような私の言葉に、コスモスは一呼吸置いて再び口を開く。神妙なコスモスの表情に私は奥歯を噛み締めた。真実を知れば アエリアも私も苦しむことになる?それは、一体…。









「              」
「……な、に…………?」









私は一抹の不安を抱きながら コスモスを見た。そしてコスモスの一言一言に 呼吸を奪われたように息が詰まったのだった。

そんな まさか…









真実と虚偽

もはや何が真実で何が虚偽なのか 私には分からない










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