混沌なる世界に光あれ

□新たな一歩
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――長い幻想を見ていたようだ。
隣にいた皇帝サマが、そう小さく呟いた。…あの世界は確かに幻想だった。しかし、幻想は必ず終わる。現に私達がこうしてあの世界から抜け出すことができたのは、神々の闘争に終止符が打たれたから。
私はゆっくりと深呼吸をして 事のすべてを語り出した。









『――私はあの時、カオスの混沌に飲まれ…すべてを諦めました。でも混沌の闇の向こうに、一筋の光を見たんです。とても輝かしくて神々しくて、温かな光を。その光に何だか導かれたような気がして必死に手を伸ばしたら……目が覚めたときには、ここにいました』
「その光とは…コスモスか?」
『…どうでしょう。でも確かに…あの光の先に 優しい笑顔を見た気がします』
「何にせよ、コスモスには礼を言わねばな」




カオスとコスモスは空へ還り、私達がいたあの世界は無くなった。クリスタルの輝きにより神竜が目覚め、すべての闘争を白紙に戻したらしい。

私は穏やかな表情で空を見上げる皇帝サマに寄り添い、静かに顔を上げた。
異説の世界では見ることのできなかった青い空。流れる雲を見つけ風を感じ、草木に触れられる日が再び来るなんて。





『……まだ夢を見ているみたい…』
「夢ではない。私達の新しい現実だ。…何なら、確認させてやろうか?」






言うが早く、皇帝サマは私の頬に手をかけ唇を重ねた。しっとりとした感覚に包まれ、やっぱり本当にこの人と一緒にいられるんだと実感する。
――私達の時間は、まだ始まったばかり。













新たな一歩
手を取り合って 生きていこう
















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異説沿いの話はこれにて完結です。
これからはFF2の世界での話をチマチマ書いていく予定。


 

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