潔く、美しい赤

第1話
1ページ/2ページ



4月。

湘北高校入学式。



真新しい制服に身を包み、初々しさが残る新1年生達。
10組の教室には、一際目立つ身長とルックスをした生徒がいた。


彼の名は、


「流川楓」




担任らしき人物に名を呼ばれた流川は、眠そうにしながらもボソリと小さな返事をする。



「全員いるな。ではこれから式があるので体育館に移動する、廊下に出席番号順で並んでくれ。あ、そのまま入場するから後ろから順なー」


教師の声に反応して立ち上がるクラスメイト達。
それに続くように流川ものっそりと立ち上がると、欠伸を噛み殺しながら廊下へと出た。



「(かったりー…)」


そう思いつつ何気なく視線をさ迷わせていると、一人の女子生徒が目につく。

正確には、その髪が目についた。



周りは黒髪が多い中、目立つ胸あたりまである栗色の髪。

顔やすらっとのびた手足はやけに白い。

女の顔の良し悪しなんてよくわからないが、恐らく整っているであろう容姿。



「(……外人?)」


おもわず日本人じゃないのかと思ったが、顔立ちはどーも日本人のそれ。



女は、ぼーっと窓の方に視線を向け空を見ている、ような見ていないような…それぐらいにぼーっとしている。




「……?」

しばし視線を女でとめていた流川だが、ふとその顔がどこかで見たことある気がしてきた。


どこだったか
いつだったか…

全く思い出せないのだが、それでも見たことある気がする。


「………」


考えてみるが、よくわからず。

移動するから静かになーという担任の声と共に、流川は視線をはずし考える事をやめた。





「(はやく終んねーかな)」




.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ