潔く、美しい赤
□第1話
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4月。
湘北高校入学式。
真新しい制服に身を包み、初々しさが残る新1年生達。
10組の教室には、一際目立つ身長とルックスをした生徒がいた。
彼の名は、
「流川楓」
担任らしき人物に名を呼ばれた流川は、眠そうにしながらもボソリと小さな返事をする。
「全員いるな。ではこれから式があるので体育館に移動する、廊下に出席番号順で並んでくれ。あ、そのまま入場するから後ろから順なー」
教師の声に反応して立ち上がるクラスメイト達。
それに続くように流川ものっそりと立ち上がると、欠伸を噛み殺しながら廊下へと出た。
「(かったりー…)」
そう思いつつ何気なく視線をさ迷わせていると、一人の女子生徒が目につく。
正確には、その髪が目についた。
周りは黒髪が多い中、目立つ胸あたりまである栗色の髪。
顔やすらっとのびた手足はやけに白い。
女の顔の良し悪しなんてよくわからないが、恐らく整っているであろう容姿。
「(……外人?)」
おもわず日本人じゃないのかと思ったが、顔立ちはどーも日本人のそれ。
女は、ぼーっと窓の方に視線を向け空を見ている、ような見ていないような…それぐらいにぼーっとしている。
「……?」
しばし視線を女でとめていた流川だが、ふとその顔がどこかで見たことある気がしてきた。
どこだったか
いつだったか…
全く思い出せないのだが、それでも見たことある気がする。
「………」
考えてみるが、よくわからず。
移動するから静かになーという担任の声と共に、流川は視線をはずし考える事をやめた。
「(はやく終んねーかな)」
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