潔く、美しい赤

第4話
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今日も朝からジリジリと音を鳴り響かせていた目覚まし時計は、のびてきた大きな手に押さえ付けられその音をとめた。


「…くぁっ〜‥」

大きな欠伸をひとつすると、流川は昨日同様に準備を済ませ家をでる。

自転車を走らせ着いたのは昨日の公園で、中にはまた同じ先客が。
今日はもう鞄とボールを持ち、帰る準備をしていた。



『あ』

自転車のとまった音に気づいた椛が、流川の顔をみるなり近づいてくる。

『昨日の‥。もしかしていつもこの時間に練習してます?』

「‥だいたい」


イヤホンをとりながら質問に答える流川をみて、椛は昨日の屋上の事を思い出した。


『そーいえば‥同じ高校なんですね。昨日屋上で寝てるのみましたよ』

「‥屋上?」


椛の言葉に、流川の頭には謎のジャージの存在が浮かぶ。

そーいえば…たしかジャージには9組と書いてあった。



「ジャージ…」

『ん?』

「"9組藤真"て…お前?」

『…ああ!うん、そう。名前知らなかったですよね、あたし1年9組藤真椛です』


やっと謎が解けてすっきりした流川は椛を見下ろすと、どうもと呟いた。


『そちらは?』

「1年10組流川楓」

『10組って隣……え?1年?』

「1年」


1年と聞いてキョトンとした椛は、なぁんだ〜と僅かに微笑む。

『同じ1年生だったんだ。てっきり上かと』


その言葉を聞いて、だから所々敬語だったのかと納得する流川。


『…あ、行かなきゃ、ごめんね練習時間』


じゃあね、と帰っていく椛を横目に流川はある事を思う。




「(ジャージ…どうすんのか聞くの忘れた)」


まぁいいか、とすぐに切り替え練習を始めた。




『(…ルカワ…ルカワ?…どっかで聞いたような…)』


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