潔く、美しい赤
□第4話
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今日も朝からジリジリと音を鳴り響かせていた目覚まし時計は、のびてきた大きな手に押さえ付けられその音をとめた。
「…くぁっ〜‥」
大きな欠伸をひとつすると、流川は昨日同様に準備を済ませ家をでる。
自転車を走らせ着いたのは昨日の公園で、中にはまた同じ先客が。
今日はもう鞄とボールを持ち、帰る準備をしていた。
『あ』
自転車のとまった音に気づいた椛が、流川の顔をみるなり近づいてくる。
『昨日の‥。もしかしていつもこの時間に練習してます?』
「‥だいたい」
イヤホンをとりながら質問に答える流川をみて、椛は昨日の屋上の事を思い出した。
『そーいえば‥同じ高校なんですね。昨日屋上で寝てるのみましたよ』
「‥屋上?」
椛の言葉に、流川の頭には謎のジャージの存在が浮かぶ。
そーいえば…たしかジャージには9組と書いてあった。
「ジャージ…」
『ん?』
「"9組藤真"て…お前?」
『…ああ!うん、そう。名前知らなかったですよね、あたし1年9組藤真椛です』
やっと謎が解けてすっきりした流川は椛を見下ろすと、どうもと呟いた。
『そちらは?』
「1年10組流川楓」
『10組って隣……え?1年?』
「1年」
1年と聞いてキョトンとした椛は、なぁんだ〜と僅かに微笑む。
『同じ1年生だったんだ。てっきり上かと』
その言葉を聞いて、だから所々敬語だったのかと納得する流川。
『…あ、行かなきゃ、ごめんね練習時間』
じゃあね、と帰っていく椛を横目に流川はある事を思う。
「(ジャージ…どうすんのか聞くの忘れた)」
まぁいいか、とすぐに切り替え練習を始めた。
『(…ルカワ…ルカワ?…どっかで聞いたような…)』
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