潔く、美しい赤
□第5話
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「─…んじゃねぇどけ!」
背中に鈍い痛みを感じ、今まさに夢の中から引き戻された流川はむくりと体を起こした。
「う〜…いてえ…」
「オラさっさと帰らんか小僧!!」
今は放課後。
昼休みから屋上で寝ていた流川だが、自分のタイミングで起きたわけではないまだ少しぼーっとするその頭をかいた。
立ち上がって声の主をみれば知らない男が4人。
「おまえか蹴ったのは」
やられっぱなしは性にあわない。とりあえず背中を蹴ったと思われる奴には蹴りを返しておいた。
「な…!!なんだてめえは!!おお!?コラァ」
「1年10組流川楓だ。何人たりともオレの眠りを妨げる奴は許さん」
「このガキャ…」
「許さねーのはこっちだ…!!」
「フッ…こいつにも湘北高の恐ろしさを教える必要がありそうだな」
その蹴りが引き金になったらしくギャーギャーと2人がまくし立てる。リーダーらしき奴の、ブッ殺せ!!という合図と共に殴りかかってきた。
「ふぅ…」
口ほどにもない。4対1だったというのに。
結局流川は喧嘩を買った。
転がっている4人を見下ろして一息ついていると、後ろのドアが開く。
振り返って真っ先に目に入ったのは赤頭のリーゼント。
他にも4人の男がいた。
「…………」
「…………」
何気なく赤頭とお互い黙っていれば、一人の奴が口を開く。
「オマエ1人でやったのか…?だれだオマエは!?」
「流川楓」
「ルカワ!?」
「なにルカワ!?」
「?」
質問に素直に答えれば何故か驚く男達。
「………」
なんだかよくわからないが赤頭にはジロジロとみられている。
転がっている奴らの仲間かと思い聞いてみたが、どうやら違ったらしい。
しかし、ジロジロジロジロと…不愉快である。
「オレは1年の桜木花道だ!!よーく覚えとけ!!」
「あ、もう忘れた」
なにやら突っ掛かってきてうざいので、相手にする気のない態度をとれば余計ムキになって突っ掛かってきた。
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