潔く、美しい赤
□第17話
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「ねえ椛、アンタ噂になってるよ?」
『んー?何がー』
眠そうに机に頭をのせていた椛はそのままの姿勢で目だけを律子へと動かした。
「流川くんと付き合ってるんじゃないかって」
『…は?』
「まあ噂ってほどまだ噂になってないけど」
どこか楽しげな律子に、情報通だねェと呟く。
『なんでー』
「一緒に帰ってるからじゃない?」
『…ああ、なるほど』
眠そうにしながらたいして気にしてない様子の椛に律子は苦笑する。
幼い頃からこの容姿の椛は、そーゆう類いの噂にはなれていた。
元々自分が人にどう思われるかなんて気にしない性格でもあるが、噂は気にしない事が一番だと悟ってからは、ますます無関心になったのだ。
今まで噂は沢山あったなァといまちいち思い出せないが振り返っていれば、ふと流川の事が気にかかる。
『流川ってそーゆうの気にするかな』
「しないと思うけど」
自分はいいが相手が嫌な思いをするのはさすがに気分が悪い。
流川にも、嫌な思いをさせていたら悪いなァと思った椛だったが、律子の言葉に少し考えてからそーだよねェと苦笑をもらした。
『(付き合ってる、ねェ…)』
何気なく律子から聞いた噂を頭の中で復唱する。
ふと昨日の頭を撫でられた事が過り、どこかむず痒い気持ちになった。
『(…?変な感じ)』
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