潔く、美しい赤
□第22話
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「…あのー」
公園内でボールをついていた流川は、声をかけられ振り向いた。
そこには自分より十センチ程小さい1人の男の姿。
つくのをやめボールを手に持ち何か用かとたずねれば、男は近づいてきてなにやらジッと流川の顔を見つめる。
「あの、富中にいた流川さんっすよね?」
「…そうだけど。誰だお前」
「うわっ…まさかこんな所で会えるなんて思いもしなかったー!!」
やっぱりそうだとはしゃぎだした男は躊躇なく流川の空いてる手を握るとブンブンと振ってきた。
「(…あれ…コイツ…?)」
初対面のくせになんて馴れ馴れしい…と思うが、無邪気に笑うその顔がどこかで見た気がする。
「あ、いきなりでアレなんすけど…1on1してもらえませんか?」
「(…朝いたヤツか)」
陵南へ行く時に、駅に椛と一緒にいた男だと思い出す。
あまり似ていないし椛よりも喋りは早いし髪も黒い。そしてやけに無邪気でよく笑うそれはたしか椛の弟だった。
「…ダメッすか?」
いきなりの申し出に少々驚いたが、椛の弟なら正直実力は気になる。
少し興味がわいたので了承すると、男は姉とよく似た笑い方で嬉しそうに笑みを浮かべた。
「(今の顔似てる…)」
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