潔く、美しい赤
□第13話
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『おはよー』
「…うす」
いつも通り、朝から顔を合わせた2人だったがどこか流川は落ち着かなかった。
『昨日ちゃんと帰れたー?』
「…迷った、二回ほど」
『だから地図書くって言ったのに』
クスッと小さく笑う椛を横目に軽くストレッチをはじめる。
やっぱり、変だ。
昨日、自転車の後ろに乗せた椛と何気ない会話を交わし、若干道に迷いながらも家へと送り届けた。
まあただそれだけの事なのだが、どーもあれから椛の事を考えてる自分がいたりして、ひどく気分が落ち着かない。
ガラにもなく昨日は色々考え事をしてしまった。
『どーかした?』
「……」
『…?』
考えた結果、1つの答えがぼんやりと導き出されている。
だが、イマイチそれが信じがたい。というか、自分でもまだよくわからないのだ。
近づいてきて、自分をジーッと見上げてくる椛の顔をチラリと見下ろし、それをペシっと叩いた流川はいつもの様にリングに向けてボールを放った。
『なんで叩くのよ…!?』
「……」
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