潔く、美しい赤
□第2話
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『…はぁ、やっぱこんだけ大きい相手はしんどい』
汗を拭きながら地面に座り、笑う女を流川はただ黙って見下ろす。
「(コイツ…できるなんてもんじゃなかった)」
勝負自体はまぁ流川が勝ったのだが、それでも女の技術力はかなりのものだった。
身長や性別が同じだったら勝負はわからなかったかもしれない…それほど凄かったのだ。
『…あ、やばっ』
時間を気にして慌てだした女は、鞄とボールを掴むと流川に振り返る。
『ありがとう、久しぶりにこんな動いたかも。楽しかったです』
ニッと笑うと公園を小走りで出ていく。
「おい、」
『…はい?』
フェンス越しに声をかければ聞こえたようでその場にとまった。
「おめー…高校は?」
『…湘北高校です』
流川の質問に一瞬キョトンとしたもののそれに答えると、じゃあ、と走って行く。
その姿を見送りながらようやく流川は確信できた。
「(やっぱアイツか)」
まぁ、80%は確信できてたのだけど。
思わぬ展開
『(…あ、名前聞かなかった)』
「(女には負けられん)」
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