潔く、美しい赤
□第6話
2ページ/3ページ
「ねぇそーいえばさあ、椛は結局マネージャーやるの?」
休み時間、次の時間の教科書を眺めていた椛に律子が声をかけた。
『え?あー…うーん…70%ぐらいはそのつもり』
「30%は?もしかしてまだ悩んでるの?」
『うん、まぁ‥』
椛が悩むにはそれなりの理由がある。
そもそも椛が湘北にきたのは、近いからと女子バスケ部がなかったから。
勿論バスケは大好きなのだが、椛にはやりたい事がもう一つあったのだ。
それは幼い頃から続けてきたピアノ。それなりにコンクール等で賞などももらったりしている腕前だったりする。
将来はそっちの道に進もうと決めた為、キッパリ高校からはバスケを絶つつもりだった。
しかし、一度決心はしたもののいまだに染み付いたバスケとの関係を断ち切れず逆にモヤモヤしている毎日で。
つい先日知り合いの先輩マネージャーに、モヤモヤするぐらいならマネージャーを一緒にやらないかと誘われたのだ。
「迷う必要ないじゃない。あんた極端すぎなのよ。無理にバスケを切り離す方が難しいんだから」
『‥まぁ、ね…』
律子の言う通り、本気で切り離すならまず朝バスケを行うのはおかしな話で…しかもこの前久しぶりに人(流川)と1on1なんてしたもんだから、余計に楽しくなってしまい。あーやっぱり切り離せないよなぁと自分自身でも思っていた。
「でもその方が椛らしい」
『そう?』
「うん。バスケみながらニヤニヤしてる方が椛らしいよ」
『ニヤニヤって………』
進む道を悩んでいるわけではない。ただ、バスケとの関係をきるかきらないか悩んでいるだけだ。
律子に言われ決心がついたのか、椛は数秒考えた後何も書いてなかった白紙の入部届けをとりだすと記入しはじめ、
「お、決定?」
『…うん』
覗き込む律子と苦笑しあった。
「じゃあ今日は放課後バスケ部に顔だすの?」
『んーそうだね。彩ちゃんに伝えに行くから、先輩達にも挨拶しちゃおうかなって』
「そっかー。あーでも椛がマネージャーはじめちゃったら一緒に下校できないのねぇ寂しいなぁ〜」
『何言ってんの、学校でも会うしよく我が家に侵入してるじゃん』
「はは、まぁね〜」
.