潔く、美しい赤
□第8話
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4限目終了直後。
椛は体育帰りに、流川に約束させられた(半強制的)通り自販機で自分の分とは別にジュースを買っていた。
向かうは隣の教室。
中を覗くと体育だった為男子達が制服に着替えている最中だった。
『…おお、目の前にいた』
廊下側の1番後ろ。
簡単に発見できたその男は、ドア越しに目が合うと着替える動きをとめる。
椛が持っている缶を見せれば、目の前のドアを開けた。
「覗きか」
『え?…ち、違うよバカ、たまたま皆が着替えてるだけでしょ。せっかく買ってきたのに覗き魔扱いですか』
「…ドーモ」
差し出された大きな手に椛は持っていた缶をのせる。
「……」
『…どーかした?』
「…イチゴオレかよ」
『美味しいよ?』
甘いのは普段から好まない為、飲まねェー…と呟いた流川に椛はいきなりふきだした。
『うそうそ、流川のはこっち』
そう言いながら、自分の持っていた缶と流川の手の中の缶を交換して尚も笑う。
『流川がイチゴオレ飲んでたら面白いなァと思ただけ』
似合わない、、とまた1人クスクス笑う椛に流川は眉を寄せた。
「…どあほう」
『あれ、怒った?ごめんごめん。あ、友達待ってるから行くね』
じゃあ、と隣の教室に戻っていく椛を横目に流川はドアをしめた。
椅子に座り手の中の缶を見て小さなため息をもらす。
開けて口に含むと、再び眉を寄せた。
わざとですか
「(ココアって……イチゴオレとたいしてかわんねーだろ)」
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