潔く、美しい赤
□第13話
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放課後、ニヤニヤと何やら楽しげに聞いてくる彩子に流川は僅かに眉を寄せた。
「ねー流川、アンタ昨日椛の事送って行ったんだって?」
「……」
何故知っているのか。
「ヤッちゃんが見たらしくて。さっき聞いてきたのよアンタ達の事」
やるわねー、と茶化され面倒になる。
「でも…まさか流川が恋だなんてねー…あるわけないとか思ってたんだけど…」
「…!」
無視を決め込もうとしたのだが、彩子が呟いた言葉に思わず反応してしまった。
自分でも半信半疑だったその答えをまさか他人に言われるとは思ってなかっただけに余計に驚いたのだ。
本当に…?
自分は恋をしたのか…?
「…あら、もしかしてちょっと自覚あったの?」
「……」
彩子の言葉に自信なさげに小さくコクりと頷く。
そんな流川を見て、今度は彩子が驚いた表情をした。
「なんだてっきりアンタの事だから自覚ないんだと思ってた、鈍そうだし」
「でも…よくわかんねー、ッス」
向こうでなにやら桜木に教えている椛をチラリと見ながら呟く。
なんだか珍しい後輩のその姿に彩子はおもわず微笑した。
「まあ…頑張んなさい」
いったい何を頑張れと言うのか。
僅かに眉間にシワを寄せた流川はフウ、と小さくため息をもらす。
「とりあえず…送ってあげる事ぐらいはしてみたら?これからは」
どこかニヤリと楽しげな彩子。
そー言われた流川の眉間にはますますシワが寄った。
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