潔く、美しい赤
□第13話
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“これからは”と彩子から言われたが、それはイコール毎日送るべきだという意味だろう。
部活終了後、その言葉を思いだした流川は桜木達と共になにやらモップがけ競争を始めだした椛を横目で追っていた。
たしかに、昨日は送っていったが自分でもその行動に少し驚いた。
まあたいして苦痛でもなかったし昨日はそれでよかったとして…
ただ、それを毎日となると…どーなのだろう。
モップをかけながら流川は考える。
まだ半信半疑だが椛に対してなんらかの感情はある気がする…それに、これから彼女を1人で帰らすのが気にならないと言えば嘘になる。
「そーいえば、椛さんて家近いんですか?」
『なんで?』
「この前歩いて帰ってるとこ見かけたんで」
『んー…微妙?近くはないかな』
「それじゃあ色々危険じゃないですか?夜道の1人歩きなんて」
『大丈夫だよ?』
流川が1人悶々と考えていれば、帰り道の話題を椛へとふった桜木。
何かを考えた後、良いことを思い付いたと言わんばかりの笑みを浮かべ、なにやらモジモジとしはじめた。
「んーコホン、椛さん…あの、ですねェ…もしよかったらですねェ…あの」
「オイ」
それを見て、流川は桜木の言葉を遮るようにして椛に声をかけた。
突然の流川の登場に、モジモジしていた桜木の表情は一変し険しいモノへと変わる。
「なんだルカワ」
「おめーに用はねー…藤真」
『ん?』
「…チャリんとこで、待ってろ」
『へ?』
「は!?」
椛と桜木の声が重なる。
言われた本人よりも、横にいた桜木の方が驚いた表情を浮かべていた。
流川は、椛の返事を聞きもせずモップをかたしに行ってしまう。
その様子を若干離れた所で見ていた彩子は、それはもう至極楽しそうな表情を浮かべていたとか。
「…椛さん…絶対行っちゃダメですよ!!」
『なんで?』
「ダメったらダメです!!あのヤローの事だ、良からぬ事を考えているに違いない…!!」
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