潔く、美しい赤
□第15話
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『(なんか…赤木先輩ずいぶんと気合い入ってるな)』
放課後、フロアを走る赤木を見て椛は何気なくそう思った。
「ねえ椛、あんた流川とどーなのよ?」
走る部員達を見ていれば、彩子に少し小声で尋ねられる。
流川といえば彩子に言いたい事があるのを椛はそこで思い出した。
『彩ちゃん、流川にあたしの事送れって言ったでしょー?』
「え?まァ…言ったけど」
『だからアイツ変に責任感じちゃったりしてるんだよ。なんか頑固だもん』
彩ちゃんが心配性なのはわかるけどー、と少し困り気味で話す椛に、彩子は昨日からの流川とのやりとりを聞いた。
『なんか意地になってる』
「そうかしら?まあ、たしかに送ればとは言ったけど…アタシは強制した覚えはないわよ」
『ん…?』
その言葉に、どーゆう意味かと小首を傾げた椛は彩子の次の言葉を待つ。
「アタシに言われたけど、それとは関係ないって言ってたんでしょ?流川が」
『うん』
「じゃあ、そーいう事でしょ」
よくわからない…と呟く椛を見て、彩子は苦笑しながら小さなため息をついた。
「(鈍いのはこっちだったか…)」
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