潔く、美しい赤
□第17話
2ページ/3ページ
「スゴーイ!!みんな絶好調じゃない!!」
陵南との練習試合を明日に控えた湘北。気合いの入っている部員達をみて、彩子が声をあげた。
『明日かー…』
自然と椛の表情も緩む。
椅子に座る安西へお茶を差し出しながら、勝てますかねェと声をかけた。
「椛くんは陵南を見た事は?」
『一度あります、冬の大会。エースの人が印象的でした』
「流川くん、どう思います?」
安西の問いかけにうーんと考える椛。
陵南のエースを思いだし、おそらくぶつけられるのであろう湘北のエースに視線をやった。
『あっちの…仙道さん?ですよね。彼が今どれぐらいなのかがわからないですけど…多分仙道さんの方が上かなァ』
「ほお…」
『わかりませんけどね。技術力云々より、流川…くんは、とりあえずスタミナが気になります』
個人的な意見ですけど、と小さく苦笑した椛に安西はホッホッと笑みを返す。
「明日は楽しみですねェ」
『はい』
気合いの入った部員達を見ながら椛も嬉しそうに笑みをこぼした。
「よーし、それじゃ明日は8時半集合だからな、おくれるな」
「「「はい!!」」」
解散がかかる。
1年プラス椛がモップがけを終えると、赤木が桜木だけを体育館に残した。
『なんだろうねェ』
「さあ」
明日持っていくボール等の荷物を整理していた椛は、横にいた流川に何気なくたずねるが流川もわからず僅かに首を傾げる。
「椛ー、荷物は職員玄関の所に置いとけばいいって」
『はーい』
彩子の言葉に返事を返した椛はヨイショと声をだし荷物持った。
しかし、横にいた流川が直ぐにその手から半分以上の荷物を奪いとってしまう。
「…持つ」
『…ありがと』
驚きながらも僅かに笑みを浮かべる椛。
その様子を見ていた彩子は、あらら…とおもわず声をもらした。
数秒考えて楽しげに笑みを浮かべる。
「…じゃあ流川、それお願いしてもいいかしら?」
「うぃす」
本当ならばその半分は自分の仕事なのだが、なんとなくいい雰囲気に見えたので彩子は流川に声をかけるとそのまま体育館から出ていってしまった。
「(すごいレアな流川を見た気がするわ)」
.