潔く、美しい赤

第22話
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向かい合った時、少し驚いた。

先程までの無邪気に笑う男はそこにいなかったのだ。
椛と同じように目つきが変わる。



勝負は流川が優勢なのだが、龍司の実力はなかなかなもので。


「(一個下にこんなヤツいたのか…)」

椛を男にしたらという考えが現実になったようなヤツだと弾んできた息を整えながら流川は思う。
それでも、身のこなしやシュートの正確さは姉の方が上に感じるが。





『……龍司?』

「お、椛ー!!」


向かい合い再び攻めてくるかと思った龍司の表情が、一瞬で元に戻る。
視線のその先には、コンビニの袋をさげた椛が立っていた。




『…なんでいんの?』

駆け寄り飛び付いてきた弟の腕の中で不思議そうに呟く。




流川の家から出た後、ご飯をどこかで食べる予定だったのだが流れでバスケをする事になった。

時間も時間だし…という事でコンビニで適当に買ってそれを食べればいいかという結論に達したのだが、うっかりコンビニに寄らずに公園へ到着。

買い忘れた事に気づき、ジャンケン勝負をして負けた椛がコンビニへと行っていたのだ。



『…あ、流川。はいコレ買ってきた』

「…どーも」

「え?椛流川さんと知り合い?」



近づいてきた流川と袋を差し出した椛の様子に、龍司は首を傾げる。



『同じ湘北ー』

そー言って腕の中からすりぬけていく椛を見つめ、龍司は驚きの声をあげた。



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