跡地


◆no title 


「とっ、とにかくっ!一刻を争う事態でござるな!急ぐでござるよ!」

「おい何仕切り直してんだ。」

「んでもでも、確かに急がないとヤバいのは間違いないよ!」

ハッ、とした面持ちで仕切り直そうと取って付けたように焦りだすエセ忍者を後目に、各々我に返るロボットたち。そういえば元々崩壊が続いていたこの場所が、更にそんな破壊の追い打ちを受けているというのに余裕をかましている場合ではない。

「ハード!」

一際噴煙の上がる方にオレンジが叫べば、

「マグとスネークなら回収した。」

短く、しかし頼もしい声が返ってくる。

「いよっし!スパーク!」

「いつでも発射おーらいだよっ」

ひょい、と自分も同じくハードマンに担ぎ上げられながらのタップマンの呼び掛けにスパークマンがやけに楽しそうに応え、前を向いた。

「ニードル」

「別に良いが、コイツにも仕事やらねェとしまんねえだろ。」

そんな輸送機の前に陣取り会話するのはニードルマンとジェミニマン。
どうやら前衛と後衛をどうするかで揉めて?いるらしいのだが。

「オレ様は勿論前に行くつもりだが?つーか、てめえらに切っ先なんざ任せられるかよ。」

「まァオレも前に行くっスけど。」

言い放ちジロリとカメラアイを向けたその先には…勿論コイツ。

「えっえっ、何この流れ!もしかしなくても某、殿でござるか〜!?」

「「嫌なら置いてくぞ。」」

「任されよ。」

これまた妙に息ぴったりの二機に睨まれ、ついさっきまでの情けない声はどこへやら。キリッと神妙な面持ちで獲物を構え直すエセ忍者であった。

「みんな用意は良いー?」

それらを相変わらず場違いなほどのニコニコとした笑顔で眺めていた操縦士、スパークマンの声が響く。

「いつでもオッケー!」

「つか早くしねえとここもう保たねえだろ…」

「殿は任されよー!」

銘々聞こえてくる声や頷きにニカッと返し、噴煙と降り注ぐ瓦礫の中、舵はきられた。

「いっくよー!ぜんそくぜんしーん!!」




―――――

――――

―――

――



2013/03/29(Fri) 00:30 

◆no title 


「つか、ありゃ何だ、シャドー」

「はて?アレ、とは…」

アレだよ、アレ。とニードルマンが自身の針で指し示す方向。ついついと動かすその先、目線は向けずに、しかし相変わらずため息にも似た排気音を響かせる機体の向こうには

「「は?」」

銘々眺めやり、思わず間の抜けた声を上げる面々。緑と赤の機体を回収していたハードマンも皆の目線を追い顔を上げる。




「…ヤバいな。」

そしてやはりボソリと呟き、顔面に降りかかる瓦礫を払いのけた。

「あー…、ハード?めんどくさいからって色々今考えんのやめただろ。」

「確かにヤバいことに代わりはないが、其れにも限度があるな。」

そしてこちらはと言えば何だか妙に冷めている顔がちらほら。「あーやっぱりか」的な顔でシャドーマンの向こう側の惨劇…即ち、辛うじてこの施設を支えていた柱までもが、突っ込んできた輸送機によって無惨にも破壊し尽くされている酷い光景を眺め嘆息する。

「ってお前ら!何冷静に!」

「「だってジェミニー」」

「だってじゃない!」

蛇が不在のせいでツッコミを一人で担う羽目になってしまったジェミニマンの叫びが木霊する。

2013/03/18(Mon) 12:12 

◆no title 


「いやあ充電に時間がかかってしまった!待たせたなっ☆でござるよ!」

きらっ!と本気なのかそれともふざけているのか良く分からないテンションで降り立ったのは忍者のような影。直後響き渡った爆音でその緊張感のかけらもない満面の笑みが露わになる。

「シャドー!てめっ…」

「うわ!?何っ」

言い募ろうと口を開けば、今度は竜巻のような突風にカメラアイを細めるしかない。刹那、素っ頓狂な声と共にオレンジが顔を出した。

―巨大なヘリ型輸送機と共に。

「あれれみんなどうしたのー?」

「どうしたもこうしたも…スパーク、」

「踏んでるぞ」

「ぎゃー!マグネ!!」

タップマンが叫びをあげる足下。何故か変なところから覗いている磁石のようなもの…。折角格好良く決めたはずの磁石が瓦礫や残骸に踏みつぶされていた。

避けきれなかったらしい蛇と一緒に。

「うわわマグネット、それにスネークまでどうしたでござるかー」

「お前棒読みにもほどがあるだろ!」

つかつかと近寄りぶん殴るジェミニマンの拳には最早躊躇という二文字は無いらしい。それでもにへへと笑い返すシャドーマンに輸送機のエネルギープラグに両腕を突っ込んだままのスパークマンが不安そうに声をかけた。

「は、はやくどかないとっ」

「あいや待たれよ!スパーク、マグとスネークは某らがそっと引き抜く故、そのまま空中一メートル付近で静止していてくれ。」

「で、でも…」

「操縦桿を某がぶっ壊してしまった今、スパークのその両腕が舵の代わりなのでござるよ?迂闊に動かして皆の大事な退却手段を失っては困る。」

「なんかさ…言ってることは、すごい的を射てるんだけど…」

「要するにてめえのせいでこの輸送機がこんな半壊状態ってことがよーく分かったぜ」

「い、いやあ其れ程でも…」

「「褒めてない」」

ズバ!と珍しく息の合ったツッコミを繰り出すジェミニマンとタップマン。よくよく見やればあちこち既にガタがきているヘリに、誰からともなくため息にも似た排気音が聞こえてくるようで。

2013/01/24(Thu) 13:49 

◆no title 


「マグネ…!うわ、ねえボクのこと分かる…?」

「タップ、ありがとうな…足、もう動かないんだろ?」

「あちゃー、そっちの方もバレバレ?」

「ハードも…磁界の中じゃ殆ど動けないのに…ありがとう。」

「問題ない。」

「ジェミニ、ありがとう。世話をかけたな。」

「うっせえボケ磁石」

「…ニードル、」

「なんスか。」

ムスッとしたままやっと手を止める青い機体。けれど、かける言葉は皆とは違い、彼は敢えてそれを無線で飛ばした。




―ありがとう。


「ッッ!!」

途端、ボフンと音を立てて排気を漏らす針山の顔をタップマンが怪訝そうに覗き込む。

「えっ、なになに!?今、なんて話してたの二人ともっ」

「礼を言っただけだぞ?」

「ならなんで内緒話なんだよー!」

「んなことより退却の仕方考えろよてめえら!!」

どこか懐かしさを感じる賑やかなやり取り。不思議と、力がわいた。

「一瞬だけだが…俺の磁力を最大出力にすればこの塔の崩壊は止められるはずだ。その間に…皆は」

ハードマンに目配せする。休むことなく動かす拳はそのままに彼は短く答えた。

「一分程時間を稼いでくれればそれで良い。」

「でもそれじゃマグネが…」

動かない足を引きずり、タップマンが不安げに上空を仰ぐ。塔は既に半分の域にまで崩壊が及ぼうとしていた。

「つか、お前にそんな器用な真似出来んのかよ。またさっきみたいにオレたちごと引き付けられて」

「さっさとやれ」

「っ、ニードル!お前なっ」

「出来るから、言ってんだろ。」

「まあな」

「なんだよその意味不明な自信は…」

げんなりとしたジェミニマンの声をよそに、赤い機体は前を見据える。眼前にそびえ立つ、地響きを轟かせるその標的に手を……

かけたその時だった








「おっまたせーでござる!」

場違いな明るい声が上空から響いたのは。

2013/01/09(Wed) 02:57 

◆no title 


排気音が荒い。足が崩れ落ちそうなほど、エネルギーが最早底をつきそうであるのも確かで。けれど、それでも

(誰一人、諦めていない…)

「……」

(そうか、私…)

この感覚…だったんだ。

誰かの為に、自分の為に、何かしたい。必死になりたい。

たとえそれがロボット同士であっても。

それが仲間であり

(兄弟…)

そう、思うから。









(ここは、幸いにも鉄材ばかりが目立つ。私は…きっと磁力を操れるロボットだから、きっと)

そう、きっと“マグネットマン”ならこう言うから。






「俺が、なんとかする。」

「へ、」

呟いた言葉は、その声量の割に皆に届いたらしい。

いち早く反応したオレンジにふっと笑いかけると、丸い目を更に丸く見開いて見つめてくるものだから苦笑してしまった。

「おい、お前…」

「俺が何とかするよ。」

ニードルマンが銃撃の手を休めずに、しかしこちらも信じられないというようにハードマンと目配せし合う。


そして


「お前、マグネット…か?」

いつもの光沢が粉塵で半減してしまっているジェミニマンが煙の向こうから顔を出す。

ガラガラと瓦礫が降り注ぐ中、赤い機体は微笑んだ。

「何言ってるんだジェミニ。ほっぺた、泥付いてるぞ。」

「っ…!バカ、かてめえ…っ」

言われて、頬を拭いながらジェミニマンが叫ぶ。そしてそれを皮切りにするように埃まみれの機体たちが銘々近寄ってきた。

2013/01/06(Sun) 16:05 

◆no title 


「チッ…磁力が解けたのは良いが、このままじゃ埋まっちまう!」

「うわ!?わっ…と…あ、ありがとハード」

「だっ、大丈夫ですか皆さんっ」

同じく投げ出された緑とオレンジも先に降りていたハードマンがキャッチしたのを確認し、マグネットマンがホッとした面持ちで駆け寄った。

「いったた…ありがとマグネ…けど、しっかしこれは」

「ど、どーなっちゃうんですかあ…!わ、!?」

降り注ぐ残骸。とっさにタップマンがスピンで弾き返す。

「よっ、と!!ああもうシャドーとスパークにも連絡とれないし、もー!何がどうなってんだよぉ!!」

自棄のように叫びながらもキッと前を見据える視線。捉えた標的に確実に蹴りをクリーンヒットさせていく独楽の隣、ジェミニマンが徐々に粉塵で霞む空間を眺め、苦々しげに呟いていた。

「退路は案の定全て鉄屑で塞がっている…か。ハード、」

「量が量だ。時間はかかる。」

「チッ…どっちみちやるしかねェってか!」

既に抱えていた緑を傍らにおろし、退路を確保しようと拳をふるい始めていたハードマンの隣にニードルマンのキャノン砲が加わる。
それでも地響きはおさまるどころか一気に加速していくようで。

「これっ…キリないよジェミニっ」

「クソ…っ」

スピンで弾き、器用にジェミニマンのレーザーに当てまくっていたオレンジの勢いが徐々に弱まる。

「タップさん…皆さん」

2013/01/05(Sat) 01:25 

◆no title 


「でもさー、よくこんな危ないことマグネにさせたねー」

自分の機体までその“危ないこと”にさらされていることに甘んじているのが分かっているのかいないのか。のんきな調子でタップマンが零せば、ジェミニマンはどこか当然だとでも言うように口を開く。

「アイツは元からこんな地味なバックアップ作業ばっかしてただろ」

「あ、そっか」

どうやら彼は彼なりに、以前あの赤い機体が受け持っていた仕事を今この臨戦時に敢えて回すことで、眠っている記憶データに何らかの影響を及ぼすことが出来るのではないかと踏んだらしい。

(ふーん?じゃ、スネークはスネークでジェミニがマグネに仕事回すこと、分かってたってワケ、か。)

この場合、スネークマンだけでもどうとでもできただろうに。シャットダウンしたままの緑の機体を見やる。落ちないようにハードマンに抱えられていた。

(ほんっと仲良いよね)

誰と誰が、とは言わない。多分当人たちに言えば大否定された上でのリンチに間違いないが、ならばなんと表わせば良いのか。

取り敢えず顔には出ていたらしい。

「…何ニヤニヤしてやがんだ」

「ジェミニってホント良い兄ちゃんだよなと思ってさー」

「ッ、んだよ急に」

そんな風に上ではほのぼの劇が繰り広げられていたが、実はもうそれぞれに稼働時間も限界。退却することを視野に入れれば、いい加減にケリをつけないと…









「できたー!!ジェミニさん!出来ましたっ」

「やっと終わった…」

「うわ、ナイスタイミングだねマグネ!」

下を見やれば、若干お疲れ気味な針頭の横で、手をメガホンのようにしてこちらを見上げている赤い機体。マスクの下を見なくても彼が満面の笑みなのが良くわかる。

「はー…、やっと笑ったねー、マグネ」

呟けば怪訝そうな声が返ってくる。

「は?いっつも笑ってばっかだろアイツ」

「ちーがうって。“あの顔で”だよ。」

「?」

しかし、そんな風に喜んでいたのも束の間。

「いやいやいや…おかしいだろ、」

唐突に上空から聞こえてくる崩壊音に一同は固まる。

「えっ…ちょっと待ってジェミニアレ…何で上からこの塔崩壊してんのさ!!」

「…クソ蛇」

最初からこのつもりで…磁力を解除するだけでなく、このメインエネルギーシステム自体を停止させ、基地を崩壊に追いこむように仕向けていたのだろう。

「通りで…やけに長ったらしいパスコードだと思ったぜ…」

ワザとらしくてへぺろしてみせる小憎たらしい顔がAIを過り、苦虫を噛み潰した様なその顔のままジェミニマンは降り立った。

2012/12/29(Sat) 20:06 

◆no title 


「ニードル、てめえ無駄に器用なんだから針貸せ。」

言いながら眼前にデータを展開し始めるジェミニマン。

「チッ…たく、分かってるっスよ」

ニードルマンは遥か頭上のその光景を睨みながら、相変わらずオロオロと焦るマグネットマンに近づいた…時だった。

「う、わ…!?」

「く、そ…!何で急に磁力が強まって」

「…マグネットが引っ付いたからじゃねえスか」

「わ、私のせいですかあ!?」

見れば、ムギュウと密着するように制御基板とニードルマンに仲良くサンドイッチされている赤い機体が情けなく喚く姿。

「こ、こうなったら早くこの線切らないと!」

「!?待てマグネット!」

ぶち、と不用意に引きちぎられたケーブルの音にジェミニマンが焦りの声を上げたのも束の間、更にエネルギーが吸引され、ガクッと機体がしなる。

「うわ…!?」

「っ、ば…か……」

「っ」

(ど、どうしよう)

マグネットマンなら、こんな時…と考えてみても、思い出すのは

―只の大雑把な

(ダメだ私じゃ…)

「だから…やるしかねェんだって言ってんだろ」

「ニードルさん…」

「これだな。…ジェミニ」

「今データ送った。さっさとしろ」

「ッ…たく一言多いんスよ!」

こうなることは想定の内だと言わんばかりの二機に、何だかマグネットマンは置き去りにされたような感覚に陥る。それなら…最初から、やっぱり最初から自分なんていない方が








―兄弟さえも守れないのなら


「ッ」

「マグネット?」

「おい何ボサッとしてんだボケ磁石!!」

瞬間、はっと浮上する意識。不安そうに呼びかけるタップマンにジェミニマンの怒声が重なる。

「私は…」

それでも呆然と固まったままの磁石にずしりとどこからともなく針が差し出されて。

「アイツも何だかんだ言ってお前の記憶取り戻そうと必死なんスよ。」

「…………え?」

ぼそりと、背中合わせのまま。引っ付いたそのままの状態で伝わってくるこれは…お互いの起動音。それに、感じる。こうしている間にも、皆の機体エネルギーは確実にこの目の前の機械に吸い取られていっているということも。

「え…それ…って」

どういう。思わず声を上げて振り向こうとすれば、そっぽを向かれ苦々しげに

「知らね。でも………ッだあー!!言いたくねえけどよ、お前のこと心配してねえ奴なんてここには一人もいねェんだよ!」

「………ニードル、さん」

最後の方は、叫んでいる割に何だか聞き取りづらかったけれど。

彼には十分だった。







「やります、私。ジェミニさん…私に、私にデータ回して下さい!」

2012/12/28(Fri) 12:51 

◆no title 


「スネーク?ちょ、ジェミニどーいうこと」

訝しげに食い下がるタップマンの声が聞こえているのかい無いのか。ジェミニマンは驚き見開いていたカメラアイを瞬時に睨むように細め、語気を鋭くする。敢えて、なのか。緑の機体を見ず口を開いた。

「お前」

『あー、止めて止めて無駄な話は。もうこれ通して話すのもやっとなんだから。』

「これ…って」

見れば、成る程…いつの間にか自分の背部コネクタに繋がれた細いケーブルが見える。その目線を追い、今まで何のことかさっぱり分からず置いてきぼりを食っていたタップマンは漸く感づいたようだった。

(ジェミニ、まさか、スネークと話して…?)

「何なんだよてめえ。つーかこうなること分かってたなら早く、」

『五月蠅いねぇ。確信が持てなかったんだからしょうがないじゃないか。…ほら、やっと今出来た。』

「は?なん…」

『この馬鹿デカい爆弾の処理の仕方。ほら、古典的な図式形式だからジェミニにも分かりやすいだろ?じゃ、後よろしく。』

「は、ちょ…待っ」

と。止める間もなくいつものごとく勝手気ままに言いたいことだけ言って。

「…スネーク、何て?」

「完全にシャットダウンしやがった…」

「えぇっ!?それ大丈夫なの!?」

一体何を話したらそうなるんだと思うが、まあこの二人のことだからきっと聞いてもしょうがないんだろうなと。声を上げた刹那、何だか思ってしまっている自分にタップマンは苦笑した。そして案の定、聞こえてきた答えも分かりきったもので。

「知るかよ。ったく…無茶しやがって…おいマグネット!」

「えっ、え」

今度は下でオロオロと動きだけ忙しない赤い機体がビクッと不安そうな顔で見上げてくる。

ジェミニマンは、しかしその様子を見ながらも、当然のことのように言い放った。

「今からオレの言うとおりケーブル切断しろ。コイツ、シャットダウンさせる。」

「えっ…でも、でも私が触ったらさっきみたいにみなさんが!」

つい数分前の惨事とも呼べる事態がAIを過ぎり腕が振るえる。助けに、来たのに。このままじゃ…私がいたら…それにどうしたら…と。不安でたまらなく、けれど拳を握りしめたまま上を上を見上げるその機体に、ふと、無愛想な声がかけられた。

「やるしかねぇだろ」

「ニードルさん…」

2012/12/19(Wed) 01:14 

◆no title 


「ちょ、お前何弄くって」

止める間もなく、マグネットマンの手が制御盤らしきものからケーブルを引きずり出す。…と、途端に、やっぱりというか案の定というか機械が更に激しく動き出してしまったようで。

「う、あ!?」

「何だこれ…」

「は…力、抜ける、……っそうだ、ハード!大丈夫!?」

磁場の影響を強く受けてしまうハードマンを心配し、喘ぎながら声をかけるタップマン。

『俺は…大丈夫だ。だが』

「スネーク!?おいっ」

「まさか、さっきからの違和感て…」

そう言えば、と先ほどから黙ったままの常ならば良く(主に皮肉を)しゃべりまくる緑を思い出し三機は振り返る。

「スネーク!スネークってば!」

「クソ…これ明らかにエネルギー残量減ってるだろ」

ぐったりとしたまま反応を示さない緑の機体を後目に、何か感づいたらしいジェミニマンが自身の内部データにアクセスし、そう呟く。

「えっ…てことは」

「これに引っ付いた時から微量ずつエネルギー吸い取られてた…ってことだろ…つまりこれは」

『この基地の自家発電装置、そしてエネルギー源。今回の標的そのものってこと。』

「!?」

「…ジェミニ?」

そこまで言って固まるジェミニマンにタップマンは首を傾げる。

「どうしたんだよ」

「…スネーク、」

「え?」

2012/12/17(Mon) 23:54 

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